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PC活用講座 - Excel

「Excelの便利機能活用術」
1年前とどこが変わった? 顧客情報の変更を見える化したい

ITライター 立山秀利

顧客情報をExcelで管理するケースは多い。その場合、顧客の情報に変更があったかどうか、以前の情報と比較して調べたいことは少なくないだろう。今回はそのような比較を行い、結果を簡単に見える化する方法を紹介する。

大文字小文字まで区別して等しいか判定

情報が変わったどうか調べる際に便利なのがEXACT関数だ。比較対象となる2つの文字列が等しいとTRUE、異なるとFALSEを返す。書式は次の通りである。

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=EXACT(文字列1,文字列2)
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例えば、顧客アドレスに変更があったかどうかEXACT関数を使って調べてみる。

まず、各顧客の2018年のアドレスをA2、A3セルに、2019年のアドレスをB2、B3セルに入力する。そしてまずは、C2セルに「=EXACT(A2,B2)」を入力。A2、B2セルのアドレスに変更はないので、TRUEが返される。次に、C3セルに「=EXACT(A3,B3)」を入力。A3とB3セルのアドレスが違っているので、結果はFALSEとなる。

図

図1
(画像をクリックすると拡大表示します)

また、文字列が等しいかどうかを調べる方法としては他に、比較演算子「=」を思い浮かべた人も多いだろう。EXACT関数との違いは、アルファベットの大文字小文字の区別だ。EXACT関数は区別して比較するので、同じアルファベットでも大文字小文字が異なれば、異なる文字列と判定する。一方、「=」は区別しないため、等しい文字列と判定する。

例えば、図2のようにB2セルに「NEXS@example.com」、A2セルに「 nexs@example.com」という文字列が入力されているとする。@より前が大文字小文字で異なる文字列になっている。そして、D1セルには比較演算子「=」で比較する以下の数式を入力する。

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=A2=B2
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D2セルにはEXACT関数で比較する以下の数式を入力する。

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=EXACT(A2,B2)
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結果は図2の通り。比較演算子「=」では、等しい文字列と判定するのでTRUEが表示される。EXACT関数は異なる文字列と判定するので、FALSEが表示される。

図

図2
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また、今回は顧客のアドレスで例を示したが、所属や肩書などでもEXACT関数を使えば容易に変更箇所が確認できる。

変更があった情報のセルを赤く強調

EXACT関数を顧客管理に用いた例を紹介しよう。顧客情報の表が2018年分と2019年分があった場合、これら2つの表で、どのセルの情報に変更があったか調べたいとする。今回は変更があった情報について、2019年の表の該当セルの色(塗りつぶし色)を薄い赤にして強調したいとしよう。

そのように変更を調べて強調するには、EXACT関数と「条件付き書式」機能を組み合わせればよい。まずは2019年分の表で、変更を調べたい情報が入ったG3~I12セルを選択する。続けて、[ホーム]タブの[条件付き書式]→[新しいルール]をクリックする。

図

図3
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「新しい書式ルール」ダイアログボックスが表示される。「ルールの種類を選択してください」の一覧から、[数式を使用して、書式設定するセルを決定]を選ぶ。

次に「次の数式を満たす場合に値を書式設定」に数式を入力する。2019年分の表と2018年分の表で、同じ位置にあるセルが等しいか、EXACT関数で判定する。2つの引数には、判定対象の表のセル範囲の左上のセルをそれぞれ相対参照で指定すれば、残りのセルも同様に判定できる。

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=EXACT(G3,B3)
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ただし、このままでは、「等しいセル」が条件となり、2つの表で情報が同じセルが強調されてしまう。

そこで、NOT関数を組み合わせる。引数に指定した数式のTRUE/FALSEを反転する関数だ。このNOT関数の引数に、先ほど考えた「EXACT(G3,B3)」を指定すればよい。以上を踏まえると、条件式は以下となる。

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=NOT(EXACT(G3,B3))
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これで数式を設定できた。あとは強調するセルの塗りつぶし色を設定する。[書式]をクリックして「セルの書式設定」ダイアログボックスを開き、[塗りつぶし]タブにて薄い赤を選び[OK]をクリックする。

すべて設定し終えたら、[OK]をクリックして、「新しい書式ルール」ダイアログボックスを閉じる。

図

図4

これで、2つの表で情報が異なる――つまり、変更がったセルが薄い赤で強調されるようになる(図5)。

図

図5
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注目してほしいのがI6セルだ。薄い赤で強調され、変更があったことがわかるが、情報を見ると、2018年の表ではハンドルネームが「MIYA」であり、2019年の表では「miya」と同じ綴りで小文字に変更されている。EXACT関数を使ったため、大文字小文字を区別でき、このような変更も漏れなく検出できた。

このようにEXACT関数を使えば、アルファベットの大文字小文字まで区別して、情報に変更があったかどうか正確に調べることができる。

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立山秀利(たてやま・ひでとし)

カーナビのソフトウェア開発、Webプロデュース業務を経て、現在は、システムやネットワーク、Microsoft Officeを中心に執筆中。 主な著書に『Excel VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本』などがある。

(監修:日経BPコンサルティング)