1990年代後半より急速に増加したリラクゼーションサービスチェーンの中でも、高い認知度を誇る「てもみん」。その「てもみん」を運営するのが、株式会社グローバルスポーツ医学研究所です。
同社の創業は1982年。東京・高円寺に創業者が開いた治療院に遡ります。一般的に、鍼灸やあん摩マッサージの治療院は必要とするスペースや備品が少ないため、個人経営で気軽にはじめるケースが少なくありません。その一方で、都心では賃貸料が割安な雑居ビルの上層階などに店舗を構えるため、お客様が入りづらいというデメリットもありました。そんな中、創業者は多種多様なお客様がサービスを受けやすい施術所を目指して、1985年に法人を設立。東京・銀座に「銀座コンディショニングセンター」を開設したことを皮切りに、大阪・名古屋・札幌などへ施術所を展開。その背景を同社取締役の黒澤真氏は次のように説明します。
「銀座で開業後、お客様にビジネスパーソンが増え、出張で来られている方が多いことに着目しました。そこで“出張先でも同じブランドで同じ技術のサービスが受けられるように”と考えたことが全国展開のきっかけです」
大きな転機が訪れたのは1995年。以前から海外に存在するワンコインマッサージを参考に、大阪で10分1,000円のリラクゼーションサービスを提供したところ、大きな反響を呼びました。当時のマッサージの相場はおおよそ60分6,000~8,000円。そもそも気軽に受けられるリラクゼーションサービスが世に存在しない中、外出や買い物ついでに手早く受けられる同社のサービスが支持されることに。この成功に着想を得た同社は、翌年1月「てもみん東京駅店」を開店。その後、首都圏で次々にオープンする複合商業施設などへ出店を重ね、現在では6業種190店舗を擁しています。
20数年前、同社が先駆けとなったリラクゼーションサービスも、今では街の至るところに多種多様な店舗を見かけます。数多くの競合先がある中、「てもみん」が成功を収めた理由を黒澤氏は次のように分析しています。「第一に“てもみん”という一般の方が覚えやすい屋号が印象に残り、認知度を引き上げたのだと思います。
第二に、技術の向上と社内平準化に努めた成果でしょう。“全国どこでも同じ技術・同じ接客サービスをご提供する”ことを目標に、今も全国の店舗で毎日研修や講習を続けています」
同社に入社する新入社員はほとんどが未経験者。そこでまず3カ月間の新入社員研修で手技を完全に習得させ、同時にビジネスマナー研修も実施。技術と接客スキルを身に付けます。店舗へ配属後は受付などのオペレーション業務を一通り経験させた後、ベテラン社員によるOJTで少しずつお客様へのサービスを提供できるよう教育していきます。
さらに、OJTが終了しても始業前のレベルアップ技術講習が続きます。その内容はボディケアだけでなく、オイルケア、フェイシャルケア、有資格者向けの鍼灸勉強会などさまざま。社内の有資格者や研修指導者が遠隔地の店舗へ出向いて研修を実施したり、地方の社員が首都圏の店舗で一定期間働く社内技術留学やWebを利用した技術講習も用意しています。「自己研鑽に終わりがないのがこの世界。入口はボディケアですが、最後までお客様のからだをメンテナンスしたいという当社の姿勢のもと、人材育成の最終目標を国家資格取得に置いています」
鍼灸師やあん摩マッサージ師の国家資格を取得するためには専門学校などへ3年以上通学し、500~600万円もの学費を納める必要があります。しかし、同社はやる気のある社員を対象に勤務シフトの変更や学費の貸付などをサポート。現場で技術者を育てる環境を整えています。「技術者はつねにお客様を癒したいという気持ちを持ち、自らの技術を向上させ続けなければなりません。忍耐力や目標がないとなかなか務まりませんが、当社では社内で育てる努力を続けています」
今後同社が目指すのは、施術者全員が有資格者の治療院を増やすこと。お客様の悩みにより深く応え、疾患にも対応できるサービスを充実させていくことです。「近年、リラクゼーションサービスの普及により、お客様の経験値が上がり、要求も高くなりつつあります。そもそも入りづらかった“治療院”を誰でも入りやすい“リラクゼーションスペース”へと変えたのは、我々の貢献が大きいと自負するところです。おかげさまで以前は敷居が高かった複合商業施設が治療院を受け入れてくださるようになりましたので、今後の飛躍につなげたいと考えています」
店舗システムのフルクラウド化という最先端の技術導入を積極的に進めながらも、創業時から変わらない人材育成を基軸とするお考えに大変感銘を受けています。これからもグローバルスポーツ医学研究所様のさらなるご発展に貢献できるよう、支援させていただきます。