自律走行型ロボットへのタスク・シフティング
院内搬送ロボット活用による医療現場の働き方改革(第1回)
2019年11月

執筆者:NECネッツエスアイ株式会社
    エンジニアリング&サポートサービス事業本部

医療現場における働き方改革

日本全体で労働人口不足が年々深刻化している。また2019年4月1日から働き方改革関連法案の一部が施行されたことにより、今まで以上に「働き方」について見つめなおす必要がでてきた。限られた人員で業務を行うためには、業務内容や労働時間の見直しだけではなく、機械化や自動化を図り、リソースを最大限に活かすための施策を講じなくてはならない。

日本における労働人口不足は、医療現場でも決して例外ではない。高齢化社会が進むことで医療従事者の需要と供給のバランスが大きく崩れることが予想される。また、医療現場は離職率が高いという現実がある。これらの現状を打破すべく、環境や処遇の改善と合わせて、労働時間の短縮と負荷の軽減に向け業務の一部をICTやロボットへタスク・シフティング(業務移管)するなど、医療従事者の「働き方」を変える必要がある。

自律走行型デリバリーロボットは、医療従事者の代わりに院内の搬送業務を行い、医療機関においてタスク・シフティングを進める上で重要な解決策として期待されている。医療・看護業務以外に発生していた搬送業務を担うことで、搬送に割いていた時間を患者とのコミュニケーションや他の業務に充てるだけではなく、持ち場を離れるという心理的なストレスを軽減することができる。デリバリーロボットを活用することで本質的な業務に注力できる環境が整い、医療現場における働き方改革の推進に貢献できる。

「Relay(リレイ)」とは

本稿ではデリバリーロボットの一種である「Relay」(米国Savioke, Inc製)を紹介する。

「Relay」は、“人から人へ”モノを運ぶことを目的とした自律走行型ロボットである。サイズは高さ92cm 幅51cmと、人へ威圧感や圧迫感を与えることのない大きさであり、例えば車いす利用者に対しても視界を妨げることがない。また、外観は丸みを帯びており、親しみやすい印象を与える。これらは全て人との共存を意識し、設計された「Relay」の特長である。

本体には複数のセンサーを搭載しており、人や障害物に衝突しないよう自動で回避する。また、走行範囲の設定に磁気テープやマークなどの設備を必要とせず、目的地まで自走することができる。

加えて、システムを連携させることにより、さまざまな行動が可能となる。

(例)

連携対象可能となる動作
エレベーターシステム自動乗降でフロア間移動
内線電話現場スタッフへの到着通知

また、RFIDタグ認証機能を実装しており、搬送品の格納・回収の際にRFIDタグをかざし施錠・解錠をすることにより、医薬品や検査検体の搬送におけるセキュリティの向上および搬送記録の取得によるトレーサビリティの強化も実現した。届け先の情報を入力するだけで誰でも簡単に搬送指示をすることができるため、専用のオペレータなどは不要だ。

次回は医療現場でのRelay活用について紹介する。

デリバリーロボット「Relay」資料ダウンロードおよびお問合せ

https://www.nec-nexs.com/supple/reaflet/medical/02.html

デリバリーロボット「Relay」サービス提供

NECネッツエスアイ株式会社
エンジニアリング&サポートサービス事業本部
エンジニアリング&サポートサービス販売推進本部 ビジネス開発グループ

https://www.nesic.co.jp/solution/industry/hotel/relay.html#Col4

(Relayの動画も掲載しています)

上へ戻る