漢字の振り仮名を指す「ルビ」。
なぜ「ルビ」と呼ばれるようになったかご存知でしょうか。
本や新聞などを読んでいると、漢字の脇に小さく振り仮名がついているのを見かけることがあります。この振り仮名は「ルビ」と呼ばれていますが、語源についてはご存じでしょうか? 実はこの名称、宝石の「ルビー」に由来するものなのです。
19世紀後半のイギリスでは、活版印刷で使われる活字の大きさに応じて、宝石の名前をつけていました。5.5ポイントの活字は「ルビー」と呼ばれていました。
1877年以降(明治10年代)、本格的に活版印刷が普及した日本では、振り仮名に使われていた7号(8級、5.25ポイント)の活字の大きさが「ルビー」に最も近かったことから、日本でも7号活字を「ルビー」と呼ぶようになりました。
それ以降、次第に「ルビー(ルビ)=振り仮名」として定着していったのです。
イギリスの活字では、他にも「4.5ポイント=ダイヤモンド」「5ポイント=パール」「6.5ポイント=エメラルド」など、宝石の名前や宝石に関する名前が多く付けられています。
18世紀初頭まで、欧米には活字の大きさを表わす一定の単位がなく、活字に通称をつけてその大小を区別していました。宝石の名前が多くつけられたのは、活字(文字)のデザインの美しさを宝石の美しさになぞらえてのことでしょうか。ちょっとすてきですね。
ルビは、活字を並べて版を作る活版印刷において生まれた呼称なので、手書きの文章につけた振り仮名はもちろん、活字を用いない今の印刷で用いられる振り仮名も、厳密にはルビと呼ばないようです。とはいえ、印刷用語には、活版印刷の時代に生まれたものが数多く残っています。振り仮名を表わす「小さな宝石」の呼び名も、ずっと大切に使っていきたいものですね。