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名言・格言シリーズ

「私には驚く力が常人の十倍ぐらいありました。
81歳を超えたいまでも、「フハッ!」と驚くことが1日に何度もあるのです。
こうした能力は勉強しても伸びない。才能なんです」

ユニークな人柄で知られる漫画家・水木しげるさんの名言です。
日常のささやかな出来事にも関心をもち感動できるような、高い感受性の持ち主だったということです。
81歳でも驚きに満ちた毎日を過ごせたら、なんて楽しいでしょう。

水木さんは1922年大阪にて生まれ、鳥取の境港市で3兄弟の次男坊として育ちました。学校の勉強よりも、絵をかくことや妖怪、童話などに興味をもって過ごしていたそうです。
太平洋戦争時に激戦地ラバウルに出征し、そこで左腕を失います。両親は重い障害をもつこととなった息子を心配しましたが、水木さん本人は、戦争を生き延びてきた喜びと、戦後やっと絵を描けるという希望にあふれていたといいます。
その後絵の勉強をし、「ゲゲゲの鬼太郎」ほか著名な作品を生み出す人気漫画家となったのです。

大変な時代を、障害をもちながらも生きてきた水木さんですが、そのキャラクターはどこか前向きでユーモラス。「戦争でねえ、危ないところに、しょっちゅういたから。それと比べれば、日本に帰ったら、もう安心なんです。喜びの世界ですよ」とも語っています。

水木さんの「驚く力」というのは、戦争を生き延びることができて、平和に暮らせる毎日のありがたみが身に染みているからこそ、些細なことにも喜びを見出しながら生きていける、ということなのでしょう。

ストレスの多い毎日では、自然と心の感度が鈍くなるのだそうです。
時間的に余裕がなく何かに常に追われていたり、不安なことを抱えていたり…心が鈍い状態では、日常生活での些細なことに目を向け、好奇心をもつということは難しいのです。

忙しい日常の合間、少しでもほっとひと息ついて、周りの些細な驚き(喜びや感動)に目を向ける…そんな気持ちで過ごしていきたいものですね。