方言の中には、まるで標準語の別の言葉のように聞こえる言葉があります。まったく別の意味に勘違いしてしまうと、意味が通じないおかしな会話に…。例えば、こんな会話、いったいどういう意味かわかりますか?
Aさん みなさーん、今日はお土産を持ってきました!
Bさん それはキノドクになあ~
Cさん キノドク(気の毒)って何ですか!? タイヘンなことですよ
Dさん タイヘン(大変)じゃないでしょ~ ほんと、タマルカ~!
標準語としてとらえると、全然意味が通じませんね。でもこれ、BさんもCさんもDさんも、ちゃんとお礼を言っているんです。「きのどくに」は富山や福井で、「たいへん」は福島、「たまるか」は高知や徳島での「ありがとう」など感謝の気持ちを表す方言なのです。方言だと知らずに「たまるかー!」なんて言われてしまったら、怒らせてしまったかと勘違いしそうですね。
会話の例をもう一つ。職場での会話です。
Aさん お疲れさまです。営業から戻りました~ (机にうなだれる)
Bさん お疲れ~。あらら、エラソウだな。
Cさん エラソウ(偉そう)じゃないでしょ! 疲れ果てて、ホッコリしてますよね。
Dさん ホッコリ(ほっこり)?! というよりは、コワソウですよ。
疲れてヘトヘトだ、具合が悪い、というときの表現は、地域によって様々です。名古屋では「えらい」、北海道では「こわい」、三重や滋賀では「ほっこりした」というので、こんな会話になってしまうんですね。他にも、福岡では「きつい」、熊本や大分では「なえた」と言うそうです。ヘトヘトになったときにポロリと出る一言で、出身地がわかってしまいそうです。
標準語や敬語で話すだけでなく、それぞれの出身地の方言を知ることも楽しいものです。いろいろな地域の言葉を知ることで、話のきっかけにもなり、愉快な会話ができそうですね。
※今回ご紹介した方言は、受け取り方や地域によって多少違いがあることがあります。