2017年6月、上野動物園にてジャイアントパンダの「香香(シャンシャン)」が誕生し、話題となりました。生まれたときは手のひらに乗るほど小さかったシャンシャンも、2017年末には元気な姿が一般公開されるなど、順調に成長しています。その様子に、癒されている人も多いのでは?
今回は、かわいいけれど意外と謎だらけなパンダの雑学をご紹介します。
その1 → 実は肉食で、竹は好物ではない?!
そう、実はパンダは食肉目クマ科に分類される、れっきとした肉食動物です。草食動物が体長の約20倍以上もある長い腸をもつのに対し、パンダの腸は体長の約4倍。この点からも、パンダは肉食動物だといえます。
パンダは一日の多くの時間を食事に費やしますが、食べた竹や笹のうち、消化できるのはたった20%。強力なアゴですりつぶしながら食べ、栄養分を吸収しても、食べた量の80%はフンとなって排出されるというから驚きですね。そのため大量の竹を食べないと、生きていくのに必要なだけのエネルギーを得ることができないので、竹が大好物であるかのように見えるのでしょうね。
もともとジャイアントパンダは、生存競争を避け、中国山岳地帯の奥地を生息の場としました。そこで冬でも枯れず1年を通し豊富に得ることができる竹を主食として選んだのです。争いを避けるために、好きでもない竹を食べる続けることを選択した…と考えると、なんとも健気ですね。
その2 → 1990年代は絶滅危惧種だったが、2016年9月に解除された?!
希少なイメージのあるジャイアントパンダですが、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅の恐れのある生物を記載した「レッドリスト」(注1)で、絶滅危惧種(endangered)となっていたものの、2016年9月、危急種(vulnerable)に引き下げられました。
中国政府によるとジャイアントパンダの個体数は約16%増加しているそうです。以前横行していた密猟が激減したこと、野生パンダ保護区が拡大されたことに起因しているとのことですが、このまま順調に個体数が増えてくれるといいですね。
その3 → パンダは熊の仲間だが、冬眠することはない?!
ジャイアントパンダは寒い地域で暮らすクマの仲間ですが、クマのような冬眠はしません。通常冬に食糧を得られなくなる地域の動物たちが、厳しい冬を乗り切るための方法が冬眠です。ジャイアントパンダが主食にしている竹は、冬でも枯れず、一年を通して安定して食べることができるので、冬眠の必要がないのです。
それに、冬眠する前のクマはどんぐりなどカロリーの高い餌をたくさん食べることで、冬眠中は飲まず食わずで過ごすことができますが、パンダの主食である竹は栄養価が低いので、冬眠するだけのカロリーは得られそうにないのです。そういう意味でも、パンダは冬眠できそうにないですね。
(注1)レッドリストでは、「絶滅種」から「近絶滅種」「絶滅危惧種」「危急種」など10ランクに分類されていて、危急種は絶滅の危険性が高いとされているものの、絶滅危惧種よりは1ランク下に位置します。