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国内だけで年間100億枚が行き交う?!
――名刺の雑学

日本でのビジネスに欠かせないものといえば、「名刺」です。デジタルの時代になっても重要なツールである名刺には様々な雑学が詰まっています。
今回は、意外と知られていない名刺の雑学を紹介します。

そもそも名刺はいつごろから使われていたのでしょう。起源についてはいくつかの説があるようですが、約2000年前の中国発祥だとする説が一般的です。三国時代の武将の一人である朱然(248年没)の墓から発見されたものが世界最古の名刺であるといわれています。当時紙はまだ存在しておらず、「刺」と呼ばれる竹を割ったものに名前を書いていたことから、「名刺」という名前も生まれたようです。

16世紀になると、ドイツを皮切りに、西洋でも名刺が使われるようになりました。ただ、使い方は今とは違い、不在時に訪問したことを告げるための書置きのような使い方をしていたようです。その後、17世紀以降は社交界での必須アイテムとなって絵柄入りや写真入りなど、趣向を凝らしたものも登場しました。

日本国内でも、江戸時代からは紙に墨で名前を書いたものが使われましたが、こちらも、不在時の訪問を書き残しておく意味合いのもの。開国間近になり、西洋から印刷技術が取り入れられると、明治以降は社交の場で挨拶するときに渡すものとしての名刺が使われるようになったようです。名前のほか、紋などを入れたものもあり、現代のようにビジネス上のツールとして定着していきました。

今では世界中でビジネス上の挨拶に名刺が使われていますが、それでも日本人の名刺の扱い方は世界の中でも特殊だといえます。例えば、名刺を受け取った際、相手の情報を書き込んでおくといいといわれますが、相手が見ている前ではなく、あとでこっそり書くのがマナーとなっていますね。一方、欧米のビジネスマンにとってはただの紙であるという感覚があり、メモを書き込むことも抵抗がないのです。これは、欧米では「不在時の訪問を告げるためのもの」として使われてきた歴史があるからでしょう。

名刺は、国内だけで1日約3000万枚、年間だと100億枚以上が消費されているといわれます。電子化が進んでいる今日、メール上で電子署名を交換することや、スマホで名刺データを管理することもありますが、世界で最も紙の名刺を使う日本人にとっては、なかなか捨てるに捨てられないものの一つ。名刺の文化やマナーをうまくビジネスに活かしたいものですね。