デスクワークに多くの時間を割くようになった現代では、問題となりがちなのが運動不足です。体を動かす時間が短くなったばかりでなく、1日中デスクでPCに向き合っている…そんな人も少なくないのではないでしょうか。
実は、日本人は世界一“座る”国民性として知られ、座位時間が1日平均7時間という話もあります。そんな中、ちょっと恐怖を感じてしまうような調査結果を紹介します。
オーストラリアにて、45歲以上の成人男女22万人を3年ほどの追跡モニターした「1日に座る時間と死亡リスク」についての調査が行われました。モニター期間中に亡くなった人の生活スタイルを調査し、1日の座位時間がトータルで4時間未満、4〜8時間、8〜11時間、11時間以上にグループ分けをして分析をしました。
座位時間が8〜11時間という人は、1日4時間未満の場合に比べて死亡リスクは15%高く、最も長い11時間以上の人は最も少ない4時間未満の人と比べ、死亡リスクが40%高まっていました。つまり座る時間が長くなるほど死亡リスクは高まるという結果だったのです。
さらに、同じくオーストラリアでの別の調査では、テレビを1日6時間見る人と全く見ない人を比較。すると、全くテレビを見ない人のほうが4年8カ月長生きすることがわかりました。じっと1時間座ってテレビを見ることで、寿命が約22分縮んでいることになる、と結論づけています。
問題になるのはテレビ自体ではなく、「じっと座る」こと。テレビに限らず、オフィスでじっと1時間座っていても同様だということです。タバコを1本吸うことで寿命が5分30秒縮むという話を考えれば、座り続けることがいかに体に悪いかが実感できますね。
この状況を避けるためにできることといえばもちろん、座り続ける時間を減らすことです。欧米では、立った姿勢のまま仕事ができるスタンディングデスクが導入されるオフィスもあるなど、日常で立った姿勢を増やすことはできそうです。
座りすぎの何が悪いかというと、それは脚の筋肉が停止状態にあるということです。特にふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、全身に血液を循環させるポンプの役割を果たします。ふくらはぎの筋肉を長時間使わないということは、言い換えれば、下半身に下りた血液を心臓に押し戻せず、血流が滞るということ。肥満や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクを高めることにつながりかねません。
長時間座ってしまう場合は、できるだけ30分に1度、少なくとも1時間に1度は数分の休憩をはさみ、立ったり歩いたりして体を動かすといいでしょう。それも難しい場合は、座ったままかかとを上げ下げする、膝を伸ばして脚を上げる、など、脚全体の筋肉を動かすことを心がけましょう。座らずに過ごすことは不可能ですが、できるだけ体への負担をかけず元気に過ごしたいものです。