8月26日に厚生労働省は、平成29年度予算概算要求額を公表しました。予算概算要求額では「ニッポン一億総活躍プラン」の新3本の矢と、安倍首相が「最大のチャレンジ」と位置づける、「横断的な課題である働き方改革と生産性向上」を重点的に要求・要望するとなっています。
「最大のチャレンジ」の「働き方改革」として、
合計877.3億円(特別会計含む)を計上しています。
余談ですが、「働き方改革」というようなキャッチコピーを掲げられて、何か違和感を覚えるのは私だけでしょうか?「働き方改革って・・・?私の働き方間違ってないけど・・・!」と思います。
「働き方改革」って、誰の働き方?個々の労働者の働き方なの?
って、言いたいことはわかるけど、このキャッチコピーではないのでは???
という風に、私のような天邪鬼な人間は感じてしまいます。
「働き方改革」「ニッポン一億総活躍プラン」、もっと本質を見極めたいいキャッチコピーはなかったのでしょうか?
余談はさておき、「高齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」が、平成25年4月1日に施行され、高齢者の安定した雇用を確保する為、「高齢者雇用確保措置」が講ぜられました。現在は法令により定年の下限が60歳と義務付けられていましたが、今後は年金開始年齢を考慮し、65歳まで延長が義務付けられようとしています。
少子・高齢化社会にそなえて、生産年齢人口の減少を食い止める方策のひとつだと思われますが、実際もうすぐ60歳で定年を迎える世代は、65歳定年延長をどう受け止めているのでしょう?
クロスカントリーにたとえると、同期というライバルと一緒にスタートし、入社当事は上司という山を登り、やっとの思いで管理職になれば部下という谷が現れ、異動という向かい風をうけながら、家族・住宅ローンなどを背負い、やっとゴールテープが見えるところまでハードコースを走ってきたのに、ラストスパートを掛けようとした途端、ゴールテープが前に進んであと残り5キロと言われたようで、まるでコントのようです。
「えー、うそー!もうフラフラで走れないよー!」なのか「5キロくらいまだまだ走れるよー!」なのか。「まだまだ走れるよ」の中には走れても、今までのようなスピードでは走れない人もいるでしょう。「それで走っているつもり?競歩より遅いよ!牛歩?」と周りから言われては、走っている本人もつらいでしょう。
厚生労働省が企業から受けた報告『平成28年「高年齢者の雇用状況」集計結果』によると、「65歳定年」は14.9%、「定年制の廃止」は2.7%、「70歳以上まで働ける」企業は21.2%となっています。
少子化の影響による、働き手の減少を危惧する企業が定年の延長を実施しているようです。では、高齢者の働き方の考えはどうでしょう。
総務省の『統計からみた我が国の高齢者(65 歳以上)-「敬老の日」にちなんで-』 によると、 平成27年の高齢者の就業者数は、12年連続で増加し、730万人と過去最多となっています。平成27年の高齢者の就業率は、男性が30.3%、女性が15.0%となっており、このうち、65~69歳の就業率は、男性が52.2%、女性が31.6%といずれも前年より高くなっています。また、15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合は11.4%と、過去最高となっているようです。
雇用されている人の、正規・非正規の別をみると、高齢雇用者全体の74.2%が、非正規の職員・従業員となっています。高齢雇用者について雇用形態別の内訳をみると、パート・アルバイトが49.7%と最も高く、次いで正規の職員・従業員が25.8%、契約社員が9.2%などとなっています。
現在の雇用形態についた主な理由別にみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が 31.7%と最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」が 20.1%、「専門的な技能等をいかせるから」が 14.9%などとなっています。
高齢者の働き方の考えについて、調査対象の、65~69歳は定年退職をすでに迎えておられ、これから定年退職を迎える人々と単純に比較することはできませんが、この統計資料から見えてくるのは、多くの高齢者が自分の都合のよい時間に、パート・アルバイトを働くことを選んでおり、自分のペースで働いているのがわかります。
若いころのように、バリバリ頑張る方、のんびり自分のペースで働く方、その人それぞれにあった働き方で働くことが、生涯現役社会を実現するキーポイントになるのではないでしょうか。
しかしながら生涯現役社会を実現するには、高齢になっても健康で、「自分の健康は自分で守る」意識が重要となります。高齢となり疾病に罹患してから、医療機関を受診するのではなく、個人が自らの若年・壮年期の健康状態を正確に認識し、個人の健診データ・健康情報等の健康維持にかかる情報の利活用をすることが、喫緊な課題となっています。
その課題の最適な解決方法の一つにデータヘルスがあり、その活用方法が今後の超高齢化社会における生涯現役社会の実現に寄与していくはずです。