前回は、岸和田市の概要について、また、岸和田だんじり祭について運営面から紹介させていただきました。今回は、だんじり祭だけではない岸和田の魅力と、その発信の取り組みについて、ご紹介していきたいと思います。
全国的に認知度の高い本市ではありますが、「岸和田だんじり祭」を通じて主に認知されているのが現状です。岸和田市シティセールスプラン(注1)策定時に実施した全国アンケート調査(平成27年実施)においても、岸和田の認知度とだんじり祭の認知度は、「知っている」「名前は知っている」を合わせて共に約70%と一致する結果が出ています。また、10年ほど前の話になりますが、私が静岡県に出張した際、だんじりが描かれた土産袋を持っていたところ、見ず知らずのご婦人から「岸和田からお越しですか?」と声を掛けられたことがあり、若いながら「だんじり=岸和田」という認知度の高さに驚いた経験もあります。
岸和田の魅力は数多くあるのですが、だんじり祭以外については認知度が低い状況にあります。私が初対面の方とお会いした際に、だんじり祭以外の岸和田についてご存知ないかしばしば尋ねてみるのですが、大半の方を答えに詰まらせ困らせてしまいます。
そこで、意外と知られていない岸和田についてイメージを膨らませていただきたく、PRを兼ねて豆知識をご紹介します。
北西から南東に細長い地形で、臨海部・平野部・丘陵部・山地部と、海から山まで自然が豊かな地です。
大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置し、世界の玄関口である関西国際空港からは鉄道・自動車とも20分ほどでアクセスできます。
大阪府には現在、天守閣がある城は岸和田城と大阪城のみです。
全国2番目に藩札を発行しました(1662年(寛文2年))。
岸和田の煉瓦は、日本の煉瓦の草分け的存在で、西日本では圧倒的なシェアを誇り、旧山口県庁舎及び県会議事堂(現:国重要文化財山口県政資料館)や同志社女子大学ジェームス館(国指定登録有形文化財)のほか、琵琶湖疏水、神戸異人館で使用が確認されています。
明治時代から、泉州紡織工業地帯の中核的存在として栄えました。硝子加工技術や鉄鋼加工技術に優れた企業があります。
水産業が盛んで、大阪府内1位の漁獲量(府内漁獲量の約8割(平成24年度))を誇ります。
明智光秀公の肖像画を唯一所蔵する寺院があります。
農業が盛んで、水なすなどの野菜、桃やみかん、イチジクなど果樹の栽培が多く行われています。またギネス世界記録に、世界一甘い桃(糖度22.2度)として認定されました(平成27年)。
725(神亀2)年~738(天平10)年にかけて行基が創建した「久米田池」が、世界かんがい施設遺産に認定されました(平成27年)。
岸和田で種が開発された衝撃の甘い人参「彩誉」が人気上昇中です。
NHK連続テレビ小説「カーネーション」の舞台となりました(平成23年)。
このように、歴史があり、多様な自然があり、美味しい食べ物に恵まれている等、魅力が豊富にあるにも関わらず、全国の皆さんには、だんじり祭と同様になかなか認知いただけていないことが現在の悩みです。
岸和田城周辺には、紀州街道や江戸時代の町並みなどの歴史的景観、昭和初期に建築家の渡辺節により手がけられた国の登録文化財「自泉(じせん)会館」や旧銀行の近代建築物など、地域資源が多数点在しています。平成21年7月には、大阪府の「石畳と淡い街灯まちづくり支援事業」モデル地区に選定され、「地域資源を磨き、つなぎ、内外に広く発信しながら、地域に暮らす人々と来訪者が交流する賑わいあるまちづくり」を推進してきました。
平成21年~25年にかけては、本市が目指すスタイル「まち歩き観光」推進のため、下記ハード面の整備に取り組んできました。
同時にソフト事業として、まち歩きマップや多言語マップ(日・英・中・韓)を作成するとともに、だんじり祭以外で岸和田へ来訪いただくきっかけ作りとして、8月~9月のだんじり祭前のおおよそ1カ月間に「まつり前岸和田城下町 まち歩き周遊キャンペーン」を継続して取り組んでいます。具体的には、ボランティアガイドによるまち歩きイベントを複数回実施し、歴史建造物や前述の明智光秀公肖像画を所蔵する寺院も巡り、大阪府外の方にも、まちの魅力を肌で感じていただく機会となっています。
また、食の面では、平成25年度から「岸和田藩 食の宴」というイベントを開催しています。ご当地グルメ大集合や地元産品が並ぶ朝市、和菓子作りなどの体験を通じて、食の魅力発信に取り組んでいます。民間でも、JAが道の駅「愛彩ランド」にて農産物直売所や旬の食材が楽しめるビュッフェを運営するとともに、漁協では、新鮮な生シラス丼や地魚を楽しめる飲食店を開設したり毎週日曜日にマルシェを開催したりしており、いずれも大勢の人で賑わっています。
このように、だんじり祭だけではなく、様々な切り口から岸和田の魅力を知っていただき、1年を通じて来街いただけるよう、情報発信や機会作りに取り組んでいきたいと考えています。
次回は、訪日外国人旅行者に対する取り組みについて触れたいと思います。