昨年、訪日外国人旅行者数が過去最高の1,974万人(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」より)を記録しました。また、関西国際空港においても外国人旅客数が過去最高の1,000万人を上回るなど、関西においても外国人旅行者が著しく増加しています。
このような状況は、マスコミ等で頻繁に取り上げられているため皆さんご存知のことと思います。実生活の中でも大きなスーツケースを持つ外国人旅行者を見かけることが多くなったなど、体感されている方も多いのではないでしょうか。私も、関西国際空港やその周辺施設、アクセス鉄道、また大阪市内の百貨店や繁華街などにおいて、昼夜を問わず本当に多くの外国人旅行者を見かけるようになり、その増加ぶりを実感しています。
そこで、今回のコラムでは、本市における外国人旅行者誘致の取り組みと課題について取り上げます。
本市おいても、外国人旅行者の入り込み数は増加傾向にあります。代表的な観光施設である岸和田城及び岸和田だんじり会館における過去5年間の外国人入館者数は、下表の通りです。
昨年度は約1,500人の外国人が入館しており、平成23年度と比較すると2倍以上に伸びています。また、ここ数年では、お花見の時季に岸和田城周辺で外国人旅行者をしばしば見かけるようにもなりました。
岸和田駅前観光案内所においても、昨年度は200人の外国人個人旅行者が来所しています。多くは、駅周辺にある徒歩圏内の観光施設やショッピングモールへの行き方についての問い合わせですが、「いちご狩りができる観光農園へ路線バスを使って行きたい」といった、これまでになかった問い合わせも出てくるようになりました。
しかし、関西国際空港の外国人旅客数を鑑みると、本市の外国人旅行者入り込み数は、まだまだ少ない状況にあります。
本市の外国人旅行者誘致の取り組み状況については、大阪府南部の泉州地域9市4町(堺市・高石市・泉大津市・和泉市・忠岡町・岸和田市・貝塚市・熊取町・泉佐野市・田尻町・泉南市・阪南市・岬町)と関西エアポート株式会社(平成28年3月31日までは、新関西国際空港株式会社)が一体となって設立した観光振興のための協議会「泉州観光プロモーション推進協議会」の一員として、関西国際空港を利用する外国人旅行者等に泉州地域を観光・周遊いただけるよう、取り組みを進めているところです。
これまでの主な活動内容は、下記のとおりです。
今後は、引き続き関西への旅行者が多い台湾をメーンターゲットとして誘客に取り組むとともに、その他のアジア諸国を見据えたプロモーションに取り組む予定となっています。
前回のコラムでも触れましたが、本市は世界の玄関口である関西国際空港から鉄道・自動車ともに20分ほどでアクセスできるとともに、大阪市内との中間地点に位置しています。
しかし、宿泊施設が少なく各施設の収容人数もそう多くないことから、本市周辺エリアにおいて、外国人団体旅行者は大阪市内や関西国際空港周辺に滞在されています。つまり、関西国際空港を利用する多くの外国人旅行者に、本市を通過されている状況にあります。
本市における外国人旅行者誘致の取り組みとして、交通アクセスの強みを生かし、増加傾向にある外国人個人旅行者に、まずは空港から目的地への移動時や帰国時のフライトまでの空き時間に、「城下町 岸和田」に気軽に立ち寄っていただき、街の魅力を感じていただくことからではないかと考えています。
そのためには、次の項目について研究が必要ではないかと感じています。
3については、路線バスによる移動も想定に置いています。交通費の支出を抑えたい外国人旅行者のニーズが多くあると思われるからです。本市では丘陵・山手地域への公共交通機関は路線バスのみとなります。不案内の土地で路線バスを利用するとなると、私たちですら情報収集に苦労し、乗ったは良いが正確に目的地にたどり着けるのか不安になります。ここの情報をきちんと整理し提供できれば、安心した移動が可能となり移動手段の選択肢も増え、行動範囲の拡大につながるのではと考えています。
限りある予算の中で何ができるのか、様々な方々のお力を借りながら効果的な手法を探り、小さいところからでも実現していきたいと思っています。