多くの患者様から選ばれている病院が実践している!
患者様の立場に立った「気配り」の実践事例

病院の患者様へのあり方[第1回]
2013年9月

執筆者:合同会社 MASパートナーズ
    代表パートナー 原 聡彦(はらとしひこ)氏

本コラムは医療業界におけるトピックス的テーマを取り上げ、情報提供していきます。
今、病院においては、病院の経営改善の源泉として患者様の満足度向上が大きなテーマとなっています。今回はこのテーマを取り上げます。

相手の立場に立って何ができるのかを考え行動する

ある中小病院の理事長より「職員に対して接遇教育を熱心に取り組んでいるが、実践にむすびつかない。
患者様の満足度向上を実現させている他の病院の取り組みを教えてほしい。」というご相談が増えております。

患者様の満足度向上を実現させるために職員の接遇が重要とされ、「正しい敬語や美しいお辞儀のやり方」を接遇教育で熱心に施されていますが、接遇のよい病院とそうでない病院の差は、気配りの差と感じております。

『気配り』とは、いろんな解釈があると思いますが、私どもでは、相手の気配(けはい)を感じとり、相手の立場に立って、何ができるのかを考え行動することと定義しています。

これまでたくさんの病院を見てきて感じることは、職員がいくら正しい敬語や美しいお辞儀を身につけたとしても「気配り」を欠いた単なる患者対応術に止まっている病院では患者様の満足度は低くなっています。

病院に求められるのは不安を抱く患者様に対し、その不安を取り除く「気配り」です。

そこで、今回は、多くの患者様から選ばれている病院が実践している!患者様の立場に立った「気配り」の実践事例についてご紹介したいと思います。

患者様の立場に立った「気配り」の実践事例

診療開始前は待合室に出て全員で挨拶

外来診療を開始する5分前に本日の診療を担当する医師、看護師、スタッフ全員が待合室に出て「おはようございます。本日の午前の診療を担当する医師の○○です。看護師の○○です。事務受付の○○です。本日もよろしくお願いします。」と待合室に出てご挨拶を5年間続けている病院があります。

患者様からも大好評でこの病院の患者数は新患が増加し続けています。

お呼び出しはねぎらいと感謝の言葉を添えて

患者様は自分の順番を待っています。そして、患者様は不安や緊張を持っています。
必ず、「お待たせいたしました」のねぎらいの言葉は伝えましょう。

患者満足度の高いある病院のナースは長時間、待って頂いた患者様に「〇〇さん、長い時間、待っていてくれてありがとう!」と感謝の言葉を伝えていらっしゃいます。

初診の患者様の目線に合わせた言葉をかける

初診の患者様は不安と緊張を持っています。不安や緊張を解き解す言葉がけをしてあげましょう。
例えば、「〇〇さん、おはようございます(お待たせしました)。」など患者様の目線にあわせて言葉がけをする。
また、初診の患者様は、次の行動をどうしたらいいかわからない事が多くあります。

「こちらへ(手で示して)おかけいただけますか?」「お荷物はこちらに置いていただけますか?」など、命令形・指示形ではなく依頼形・疑問形でお伝えしましょう。

一人一人の患者様に丁寧な診察・処置を実践

(1) 新患を迎える場面
多くの患者様に選ばれている病院の医師が必ず実行している言葉がけをご紹介します。
患者様が診察室に入ってくる際に、医師が「おはようございます。本日の診療を担当する医師の○○です。」と立って会釈して診察を始めます。

そして、診察椅子に座って患者様の目線を合わせ「今日はどうなされましたか?」と問診を始めるというごくごく当たり前の言葉がけなのですが、多くの患者様に選ばれている病院の医師はどんなに忙しくても一人一人の患者様に丁寧に実践し続けていらっしゃいます。

(2) 処置室での場面
患者様の緊張を解き解すために、先行して説明する。
「今から点滴をしますが、1時間ほどかかります。お手洗いはよろしいでしょうか?」「今から採血します。最初だけチクッとしますからね。」など。
また、患者様の身体に触れるときは急に触れると驚かれますので、「失礼します。」とお伝えして患者様の身体に触れることを心がけてください。

最後に

以上、気配りの実践例を述べてきました。

ただ、重要なことはただマネだけをするのではなく、患者様の安心と満足を実現したいという想いを常にもって行動することです。

多くの患者様に選ばれている病院は患者様の立場に立った「気配り」を当たり前のこととして愚直に実践し続けることができています。
今後の病院と患者様のあり方を検討するうえで参考にして頂ければ幸いです。

上へ戻る