弊社では患者アンケートを実施して、病院経営の改善のヒントを発見頂くサポートをしております。
今回は患者アンケート結果から患者さんが医師・受付スタッフに対して抱く不満コメントや、患者さんとのコミュニケーションを工夫している事例をまとめました。患者さんへの応対のあり方を見直す意味で自院に当てはまる事はないかご確認頂きたいと思います。
上記のコメントから感じる事ですが、患者さんは医師にもっと相談したいけど、お忙しくされているので聞きづらい、同じ事を聴くのは悪いという遠慮の気持ちがあり、医師は患者さんにとって敷居の高い存在でもあるようです。
上記のコメントから感じる事ですが、患者さんは病院の受付職員をよく観察しています。
常に見られているという事を認識して立ち居振る舞いに注意していきましょう。また、患者さんにとっては、病院側が「忙しい・忙しくない」は関係ないようです(病院側としては忙しいときは考慮頂きたいと思いますが・・・)。
ちょっとつらいところですが、常に患者さんにとって気配りある対応が必要と考えて頂いたほうがいいと思います。ぜひ、上記の患者アンケートコメントをもとに自院に該当する事はないか行動と言動の棚卸(たなおろし)をして頂きたいと思います。
病院を変更した理由についてこれまで弊社が実施してきたアンケートデータをまとめると下記のような結果となりました。
病院に対する不満
第1位 | 待ち時間が長い | 54.0% |
---|---|---|
第2位 | 医療費が高い | 24.9% |
第3位 | プライバシーの配慮 | 22.1% |
第4位 | 診療情報提供が不十分 | 17.9% |
第5位 | 検査・薬が多いと感じる | 17.1% |
病院を変更した理由
第1位 | 技術レベルが低い | 42.6% |
---|---|---|
第2位 | 医師の説明が不十分 | 36.3% |
第3位 | 医師の立ち居振る舞い | 34.9% |
第4位 | 医師とのコミュニケーションがとれない | 31.2% |
第5位 | 待ち時間が長い | 25.8% |
上記の結果より、「病院に対する不満=病院を変更する」ということではないようです。病院を変更する理由は医師や職員に対して不信感、不快な印象を抱いた時、コミュニケーションが不十分な時と弊社では考えております。
特に、病院を変更した理由第1位の「技術レベルが低い」というのは、医療技術が患者さんにわかるわけではなく、医師の診断・処方の意図が患者さんにとって理解しにくい時や見えない時に感じる「医師のコミュニケーションレベルの低さ」という事だと考えております。
医師の先生方が決して説明に時間をとっていないわけではないと思いますが、患者さんに説明している事は、思っている以上に伝わっていないことが多くあるようです。医師が限られた時間で患者さんを診て満足頂く事は本当にたいへんな事です。
だからこそ、医師・看護師・コメディカル・助手・事務員など病院に携わるスタッフ全員が患者さんを360度、いろんな角度から診る姿勢、体制をつくることで医師一人に集中する患者さんの診療への期待を病院全体へシフトさせるという事が重要なポイントと考えています。
次に患者さんとのコミュニケーションを工夫している事例をお伝えします。
患者さんの名前を呼ぶ。
一見、当たり前と思われがちですが、実際できていない医療機関が多い。
「○○さん、おはようございます」「○○さん、お大事に」「○○さん、点滴を入れるのでチクってしますよ」など患者さんの名前を呼んで挨拶する、動作確認など名前を呼ぶ事は良好な関係づくりの第一歩です。ぜひ、実践頂きたいと思います。
ご家族の状況、近況などその患者さんがお話しされたことを記録して、次回、来院されたとき、話題にする。
例えば、「前回、来院されたときにお話しされていた○○の旅行はいかがでしたか?」「お孫さんにお会いするとお伺いしていましたがいかがでしたか?」など近況を話題にすることで患者さんは、自分の話を覚えていてくれた事に感動頂けます。
弊社がサポートしている病院では、患者さんとのコミュニケーションを記録するシートへ「患者さんの近況」の記録をルール化しています。
医師だけではなく看護師・コメディカル・受付など職員全員で患者さんとコミュニケーションをとる。
看護師・コメディカルには医師の説明フォロー、受付職員には患者さんの近況の記録、待合室で長時間待っている患者さんへのフォローを行うなど職員全員が患者を診るという意識で日々の診療をしている病院もあります。
同じ病気を抱えた患者さん同士が悩みや愚痴を言えるコミュニケーションの場(例:糖尿病の会)をプロデュースする。
会のメニューとしては患者さんの闘病体験の発表、医師からワンポイントをお話し頂き、病気に向き合うためのモチベーションをアップして頂く機会にしておられます。
人間関係が希薄になっている今の時代だからこそ、患者さんとのコミュニケーションを工夫することは今後の病院と患者さんへの応対のあり方を考えるうえで大切な事ではないでしょうか?
患者さんとのコミュニケーションを創意工夫して良好な関係をつくっている病院には熱烈なファン患者が多数いて患者さんが患者さんを呼ぶ口コミが巻き起こっています。ぜひ、自院にあったやり方で患者さんとのコミュニケーションを工夫して良好な関係づくりにチャレンジしてみてください。