2025年4月よりかかりつけ医機能報告制度が施行されるはご存じのことと思う。このコラムをご覧の皆様には、診療所のことなので直接は関係のないことかもしれないが、今後、病診連携が更に重要になる中で影響する部分もあるため、この制度について知っておいていただくとともに今後の病診連携についても考えてみたい。
かかりつけ医とは、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と日本医師会では定義されている。
では、かかりつけ医機能とは何だろうか? 厚生労働省では「身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能」となっており、以下の2つの機能がある。
これらの機能についての報告が、2026年以降毎年1月~3月に行われ、住民に公表される予定となっている。また報告内容は以下である。
(1)かかりつけ医機能を有することおよび院内掲示による公表
(2)かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無
(3)17診療領域および40疾患についての対応状況の有無
※更に以下の4項目の報告も求められている。
出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」
(1)通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能
以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。
(2)在宅患者の後方支援病床を確保し、地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスに参加し、入退院時に情報共有・共同指導を行う機能
以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。
(3)在宅医療を提供する機能
以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。
(4)介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する機能
以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。
出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」
この制度に先駆けて「ナビイ」という医療情報ネットが厚生労働省から公開された。今後このサイトの情報もこの制度によって充実されるものと思う。
厚生労働省「医療情報ネット(ナビイ)」
https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2300/initialize
出典:厚生労働省「医療情報ネット(ナビィ)」広報資料「医療機能情報提供制度について」
厚生労働省が描く地域完結型医療の姿(下図)を見てもこの制度による病診連携強化が伺える。
これまでも地域において病診および病病連携は重要なテーマでありこの制度が導入されて大きく変わる訳ではないが、病院経営においても考慮する必要がある制度である。
急性期病院は選定療養費の関係もあり、そもそも患者独自の判断で病院にかかることはあまりない。診療所との関係を円滑にして紹介患者を増やすことが経営上重要なポイントである。そのためにはどの診療所がどのような機能を持っていて、貴院の得意分野が何なのかをうまくマッチさせた戦略が肝となる。この報告制度は、紹介・逆紹介件数を増やし病床稼働率をアップさせることができるよい機会になるのではないだろうか?
出典:厚生労働省「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討について」
定期的にかかっている診療所があるにもかかわらず、ちょっとした別の疾患でも自分で科別に診療所を探して受診した経験はないだろうか? 私は日本医師会が定義している「健康に関することをなんでも相談できる・・」という本当のかかりつけ医がほしいと願っている。
この制度を機会に更に地域連携が進みより安心して生活できる環境ができたら嬉しい限りである。