かかりつけ医機能報告制度と病診連携
2025年3月

執筆者:株式会社 アイ・ピー・エム
    取締役 副社長
    外尾 和之(ほかお かずゆき)氏

2025年4月よりかかりつけ医機能報告制度が施行されるはご存じのことと思う。このコラムをご覧の皆様には、診療所のことなので直接は関係のないことかもしれないが、今後、病診連携が更に重要になる中で影響する部分もあるため、この制度について知っておいていただくとともに今後の病診連携についても考えてみたい。

1. かかりつけ医機能報告制度

かかりつけ医とは、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と日本医師会では定義されている。

では、かかりつけ医機能とは何だろうか? 厚生労働省では「身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能」となっており、以下の2つの機能がある。

1号機能:継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能

2号機能:通常の診療時間外の診療、入退院時の支援、在宅医療の提供、介護サービス等と連携した医療提供などの機能(1号機能を有すると報告した医療機関のみ)

これらの機能についての報告が、2026年以降毎年1月~3月に行われ、住民に公表される予定となっている。また報告内容は以下である。

1号機能:

(1)かかりつけ医機能を有することおよび院内掲示による公表

(2)かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無

(3)17診療領域および40疾患についての対応状況の有無

※更に以下の4項目の報告も求められている。

  1. 医師数、外来の看護師数、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了看護師数
  2. かかりつけ医機能に関する研修の修了者数、総合診療専門医数
  3. 全国医療情報プラットフォームに参加・活用する体制の有無
  4. 全国医療情報プラットフォームの参加・活用状況、服薬の一元管理の実施状況

出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」
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出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」

2号機能:

(1)通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能

以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。

  1. 自院または連携による通常の診療時間外の診療体制の確保状況(在宅当番医制・休日夜間急患センター等に参加、自院の連絡先を渡して随時対応、自院での一定の対応に加えて他医療機関と連携して随時対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
  2. 自院における時間外対応加算1~4の届出状況、時間外加算、深夜加算、休日加算の算定状況

(2)在宅患者の後方支援病床を確保し、地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスに参加し、入退院時に情報共有・共同指導を行う機能

以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。

  1. 自院または連携による後方支援病床の確保状況、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
  2. 自院における入院時の情報共有の診療報酬項目の算定状況
  3. 自院における地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスへの参加状況
  4. 自院における退院時の情報共有・共同指導の診療報酬項目の算定状況
  5. 特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関から紹介状により紹介を受けた外来患者数

(3)在宅医療を提供する機能

以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。

  1. 自院または連携による在宅医療を提供する体制の確保状況(自院で日中のみ、自院で24時間対応、自院での一定の対応に加えて連携して24時間対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
  2. 自院における訪問診療・往診・訪問看護の診療報酬項目の算定状況
  3. 自院における訪問看護指示料の算定状況
  4. 自院における在宅看取りの実施状況

(4)介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する機能

以下のいずれかがあれば「当該機能あり」とする。

  1. 介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する体制の確保状況(主治医意見書の作成、地域ケア会議・サービス担当者会議等への参加、 介護支援専門員や相談支援専門員と相談機会設定等)
  2. 介護支援専門員や相談支援専門員への情報共有・指導の診療報酬項目の算定状況
  3. 介護保険施設等における医療の提供状況(協力医療機関となっている施設の名称)
  4. 地域の医療介護情報共有システムの参加・活用状況
  5. ACPの実施状況

出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」
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出典:厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」

2. 今後の病診連携

この制度に先駆けて「ナビイ」という医療情報ネットが厚生労働省から公開された。今後このサイトの情報もこの制度によって充実されるものと思う。

厚生労働省「医療情報ネット(ナビイ)」

https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2300/initialize

出典:厚生労働省「医療情報ネット(ナビィ)」広報資料「医療機能情報提供制度について」
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出典:厚生労働省「医療情報ネット(ナビィ)」広報資料「医療機能情報提供制度について」

厚生労働省が描く地域完結型医療の姿(下図)を見てもこの制度による病診連携強化が伺える。

これまでも地域において病診および病病連携は重要なテーマでありこの制度が導入されて大きく変わる訳ではないが、病院経営においても考慮する必要がある制度である。

急性期病院は選定療養費の関係もあり、そもそも患者独自の判断で病院にかかることはあまりない。診療所との関係を円滑にして紹介患者を増やすことが経営上重要なポイントである。そのためにはどの診療所がどのような機能を持っていて、貴院の得意分野が何なのかをうまくマッチさせた戦略が肝となる。この報告制度は、紹介・逆紹介件数を増やし病床稼働率をアップさせることができるよい機会になるのではないだろうか?

出典:厚生労働省「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討について」
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出典:厚生労働省「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討について」

終わりに

定期的にかかっている診療所があるにもかかわらず、ちょっとした別の疾患でも自分で科別に診療所を探して受診した経験はないだろうか? 私は日本医師会が定義している「健康に関することをなんでも相談できる・・」という本当のかかりつけ医がほしいと願っている。

この制度を機会に更に地域連携が進みより安心して生活できる環境ができたら嬉しい限りである。

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