2013年1月に医療経営セミナーが開催されました。後編では、セミナー当日の内容をご紹介します。実際に電子カルテを導入している医療機関でも、まったく問題がない導入事例はないそうです。どのような問題が起き、気を付けるべき点は何なのでしょうか。
今回は、2013年1月に開催された「電子カルテの導入・活用メリットと課題への考察」のセミナー後記としてお話をしたい。
今回のセミナーは、医療機関へのヒアリングを基に、導入における問題点についての考察や電子カルテのメリット及び電子カルテを導入する上でコンサルタントとしての見解を中心にお話をさせていただいた。また、東名阪の各セミナーにおいて、電子カルテの導入に関して病院様から事例の紹介が行われた。
各規模・機能の違う医療機関の電子カルテ導入におけるご苦労や今後の展望等、とても有意義なお話を聞く事ができた。
その中でも、桑名東医療センター様においては、自治体と民間の融合という状況下でのシステム導入ということもあり、地域の医療情報連携の基盤構築という観点からも今後の展開や動向等に注目したい。
さて、今回のセミナーだが、事前に複数の医療機関様へ電子カルテに関するヒアリングを行った。
の3項目についてヒアリングを行い、その内容についての考察を行った。
ヒアリング結果の詳細については、次月以降、改めてお話をさせていただくとして、全体としてまったく問題のない導入事例はなく、多かれ少なかれ各種問題はあった。その中でも「ベンダー側と病院側との見解の違い」という問題は、全ての医療機関で起こっていた。
医療機関側としては、「出来ると思っていた内容」が導入直前もしくは導入後にベンダーから「出来ない」という回答をされ、その対応と対策に余計な時間を費やすことになった。電子カルテに限らず医療情報システム全てにおいて、情報の共有と進捗の管理は必須である。
まして、初めて電子カルテを導入される病院においては、機能や利便性及び運用改善等、分からないことが多くあり、認識や見解が違うことも多々ある。
それらを整理し、導入の進捗を一つ一つ管理していくことは、導入後の問題を少なくする上においても、とても重要である。これらの情報共有及び進捗の管理を適切に行うためには、医療情報室(医療情報担当)の役割が大きいと考える。
院内の問題(システム化と運用改善の整理)やベンダーの進捗管理等、しっかりとした担当がいる医療機関では、導入時及び導入後の問題が少ないのも事実である。
今回のヒアリングは、電子カルテを導入しようとした理由、ベンダー選定の経緯や導入時の問題点及び電子カルテのメリットについて行っている。次月以降、これらについてのお話をしてまいりたい。
少しでも皆様のお役に立てれば、幸いである。