今回は、2013年6月に開催された「医療機関における臨床指標のあり方とデータの2次活用」のセミナー後記としてお話をしたい。
今回のセミナーは、日本病院会における「QIプロジェクト」の指標関連の解説と中小規模の医療機関における臨床指標(統計)についてのお話をさせていただいた。
セミナー後、複数の病院様とお話をさせていただいたのだが、全ての病院様が指標のあり方については、色々と考えながら取り組みを実施されていた。
しかしながら、その項目については、やはり独自のもの(とある病院様は、今回ご紹介した「QIプロジェクト」の指標を参考に指標統計を作成されていた)が多く、標準化という点については、課題を持たれているようであった(自院にとって有効な臨床指標とは何か等)。
その中で、共通的な問題意識の内容としては、やはり、「活用」と「改善」についての取り組みがまだまだ不十分であるという点である。
「結果を見せるだけではだめ、そのための改善が必要」、「改善方法についてのアドバイスを含めた方法論の提案が必要」という意見を述べられた病院様もあった。まさにその通りである。
日本病院会でも「自院のパフォーマンスを数値で発信すると病院はみるみる変わります。自分達の取り組み(科ごと、医師ごと、病棟ごとのパフォーマンス)を数値で"見える化"、可視化することが改善の原動力となる」といっているが、その先を見据えた改善の実績と結果を求めていくことが、この論点の到達点であると考える。
全てを一度に行うことは不可能である。何か一つに着目して、取り組みを行うべきである。
私見としては、QI項目の「予防抗菌薬」「アスピリン投与」「糖尿病コントロール」にぜひ取り組んでいただきたいと考える。やはり、臨床指標について医師にその意識を持ってもらうことはとても重要であると考えるからである。
また、本内容以外にも、東名阪の各セミナーにおいては以下の公演が行われた。
昨今様々な「ビッグデータの活用」が話題となっている。診療情報もまた「ビッグデータ」の一つである。これらのデータを有効に活用するためには、情報ツール(電子カルテやDWH)を効率的に導入することは必須である。
末尾に中小病院における臨床指標の例を記載した。少しでも皆様のお役に立てれば、幸いである。