診療報酬改定2014について
診療報酬改定2014と今後の診療体制に関する考察(第1回)
2014年4月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

今回は、診療報酬改定2014と今後の診療体制に関する考察としてお話をしたい。
今回の改定は、前回の改定と同様に、「2025年モデル」へ向けての改革促進を受け継いだ内容になっている。全体的な印象としては、「急性期の機能強化と絞り込み」「地域連携(病院完結から地域完結への移行)強化」が強く反映された内容となっている。

一般病棟における改定について

まずは、一般病棟においてであるが、既にご存知のとおり、7:1病床の本格的な絞り込みが実施される。
当初、7:1が設立されたとき、多くの医療機関がこぞって、看護師をかき集め、体制が確立しないまま移行を進めてきた感があった(当初、体制が確立していないため、いたるところに看護師が配置され、どのように業務分担をしているのだろうかという疑問を持った医療機関もあった)。

手厚い看護と看護師の業務負担軽減という意図があったにせよ、自院の機能と方向性が曖昧のまま点数に飛びついた医療機関は、今回の改正で7:1をキープできなくなると思われる。それほど、厳しい算定要件となっている。

看護必要度の見直し(重症度、医療。看護必要度に変更の上、評価項目Aの内容変更による厳格化)や平均在院日数の計算方法の変更(短期手術・検査による入院扱いの見直し)及び特例除外制度の廃止などが中心に、シビアな算定要件が続出している。各方面の見解から、7:1の3割程度が脱落するとの見方があるが、筆者も同感である。

特に中小の医療機関で多くの診療科をかかえる場合は、自院の方向性や診療圏内医療体制を見極めた上での早期の対応が必要となる。既に新しい算定要件で平均在院日数の算出をした医療機関の話を聞いたが、そこでもやはり、1日程度の影響がでるらしい(短期入院分の影響を調査・検証した結果であるが、総合病院でその程度ということであれば、短期入院を推し進めてきた眼科単科病院などはどのくらいになるのであろうか。医療機関の規模や機能ごとの平均在院日数への影響も含めて、今回の改定による影響結果を検証したい)。

また、後発医薬品の推進を意識したDPCの機能評価係数に関する「後発医薬品係数」の新設や早期リハビリ開始や在宅復帰への退院割合データの提出など、医療費の全体的な削減と急性期から亜急性期・回復期、そして自宅へという導きが色濃くなっているのと同時に、「高度急性期」のための機能強化(最上位クラスの算定が可能)の色もあり、まさに2025年モデルの実現へ向けて進んでいる印象である。

看護師のチーム制導入におけるシステム運用の改良について

話は変わるが、今後の医療体制の一つとして、チーム医療の推進があるが、最近は看護師の中でのチーム制に取り組む医療機関も増えてきている。医療安全や教育等の観点から複数人でケアにあたる体制を進めることで、ケアの充実と医療事故防止を目的としている。
これを導入している医療機関でのシステム運用として気になったのが、現行の電子カルテでこの運用に対応できる医療情報システムがないことである(医師による承認と看護師による実施はあるが、他の看護師による確認フラグが存在していないケースがほとんどである。システムベンダーもこの状況を把握し、早急に改良に取り組む必要がある)。

急性期における今回の改定は、本来あるべき急性期の姿を確固たるものにすると同時に、機能と連携を強化することで、早期の回復(自宅等への誘導)を進めて行くものになっている。次回の改定以降もさらに機能の明確化と強化がテーマとして取り組まれると想定できるため、先を見越した体制の強化が必要である。

次回は、亜急性期や外来等についてのお話をしたい。
少しでも皆様のお役に立てれば、幸いである。

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