診療報酬改定2014について
診療報酬改定2014と今後の診療体制に関する考察(第2回)
2014年5月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

前回は、「急性期」を中心にお話をしたが、今回は、「亜急性期・回復期」、「外来」を中心にお話をしたい。
主なポイントしては、「亜急性期・回復期」に「地域包括ケア病棟」、外来に「主治医機能」の評価が創設される。

「亜急性期・回復期」の改定について

まず、「亜急性期・回復期」において、今回の改定で「急性期」の要件が厳しくなり、その後の受け入れ機能を担う立場として重要性が増すことから、機能強化と質の向上が必須となっている。「亜急性期・回復期」の役割としては、急性期からの受け入れ、在宅復帰等が主な役割となっている点からも、リハビリと在宅復帰に重きが置かれることとなった。

また、「地域包括ケア」の1と2では、500点の開きがあり、1では、在宅復帰率7割以上、1人あたりの居室面積が6.4m²以上となり、これらが算定できない医療機関(機能はあっても築年数が経っているところでこれをクリアできないところもある)においては、1人あたり最大30,000点の大きな痛手となる。

まさに在宅復帰への機能強化と療養環境の質の向上を求められる内容である。回復期リハビリテーションにおいては、休日リハビリテーションが包括化されることから、リハビリ科の体制見直しが必要となり、人員配置にも影響が出てくるであろう(訪問リハ等の充実も検討の課題である)。

また、ここでも「重症度、医療・看護必要度」の点数評価が要件となる。後方支援としての機能を持つ医療機関においては、職員の確保と配置(強化加算においては、専従の常勤医師と社会福祉士の配置が必要)、施設の充実、データ収集体制の確立などが、重要なファクターとなる。

「外来」の改定点と「地域包括診療料」の新設について

次に、「外来」においては、乱暴な解釈をすると200床以上の医療機関は、紹介のみの患者の受け入れのみを行い、200床未満の病院及び診療所が「主治医」としての機能を充実・確保するという形になる。
今回新設された「地域包括診療料」においては、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病が対象となっているが、今後はこの疾病種の拡大等も考えられ、より1人の患者に対して全体的なケア(検診等の予防から介護支援まで)を充実させていくことになる。

また、24時間開局の薬局との連携に関する要件があるが、この要件の意図することは筆者には不明である。病院の場合は、院内処方への対応は特に問題はないであろうが、診療所においては、ほとんどが院外処方となっているため、算定を行うとなると24時間開局の薬局と連携が必要となる。そのため、都市圏と地方圏では、大きな格差を生むことになりかねない(24時間オープンのドラッグストアの数が違うため)。この制度については、あくまでも試行という意味合いの強い算定要件であると考える。

その他、「慢性期」、「在宅・訪問」についても在宅復帰への機能強化と在宅医療の充実が評価される内容になっている。基本の方針である「重篤な患者に対する高度医療の速やかな提供と早期回復のための機能復帰支援及び在宅医療の充実」のために試行と改革が進み、機能の分化と充実が図られることであろう。
今後も各医療機関においては、自院の機能を明確にし、自院のあるべき姿に近づけていく方針と努力が必要である。特に地域医療の充実に向けては、同診療圏における医療機関同士の機能再編が必要となる場合もあると考える。

今回の診療報酬改定の影響については、後日改めて検証してみたい。
少しでも皆様のお役に立てれば、幸いである。

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