今回からは、「医療機関における統計データの活用に関する考察」としてお話をしたい。
医療機関には、様々なデータが存在する。診療データから看護、薬品、放射線、検査、物品、会計、経理、その種別は数多くあり、各種データが持つ意味や意義も多岐にわたる。まずは、医療機関における統計等に関する問題点を列挙したい。
いつ、どこで、だれが、どんな、が不明確で、多分、あそこで、こんなデータがとられているはず、が数多くの医療機関で存在する。
⇒医療機関全体を通した統計一覧(担当者・作成部署、作成状況等)を作成する。
統計抽出方法についての統一ルールが定まっていないケースが散見され、最悪は抽出した人物によって、統計結果が変わる。
⇒統計作成に関する根拠を明示し、院内での統一ルールを確立する
統計の結果による数値が、その後の院内業務改善等に活かされないまま報告のみで終わる場合がある。追跡統計や数値変動の理由が明確にされないで、放置されてしまうケースがあり、何のための統計か意味をなしていないことがある。
⇒転倒・転落統計から、手術実施件数への連動等、業務の改善につながる事由を明確にし、業務改善委員会等での検討を実施する。
これらの問題点を解決するための案として、以下の方法を列記する。
統計は、「原因を究明し、改善を進めるための重要な手段の一つである」ことを認識して、調査・分析に取組むべき事項であると考える。
次に、データの二次利用に関する事例をお話ししたいと思うが、その前に、まず、イニシャルとランニングについて記述したい。いわゆる購入と保守についてであるが、数々の医療機関の状況を見聞する中で、医療機関ごとに、機器等購入の金額に大きな差があるのは、大きな謎の部分である。
とある医療機関に話を伺った際には、きちんとしたベンチマークを基に購入を進めているということであったが、その購入金額は、我々が思っている価格よりはるかに高かった。販売する側にも様々な事情があるのだろうが、上手に購入をしているところとそうでないところが存在するのも事実である。
保守にしても同様である。購入は安かったが、その後の保守の金額があまりにも高いケースがみられる。最近は、ようやくその点に疑問を抱き、内容を確認する機関も増えては来ているが、保守仕様書を詳細に検討・吟味しないまま契約を行っている機関も多くある。特に、中小規模の医療機関においては、その内容と金額のバランスを分析することが少ないように感じている。保守にあたっては、必ず保守仕様書を作成し、院内作業とメーカー作業の区分をしっかりと行うべきである。
方法論の詳細については、割愛するが、同じものを購入してこれだけ差が出るのは、医療機関では、画一された購入方法に至っていない結果の表れであると思われる。
次回からは、放射線機器の使用分析や室料差額の分析がもたらした効果(収入と意識改善)等について、お話をしたい。
最後に、購入にあたってのリース契約について、いくつかご紹介をする。医療機器等、高額物品を購入する際には、リース契約を結ぶことが多いと思われるが、調達方法とリース契約に関して記述させていただく。
【現金】
【リース】
リースの場合、現金取引に比べ、金利、手数料を含むため、総額では必ず現金取得の方が低くなる。借入により取得するとしても、借入の場合は金利だけであるが、リースはその他に手数料も必要になるため、総額でみれば借入取得の方が低くなる。
リースのメリットとして一番大きいのは、一時的な資金負担が低くて済むということと減価償却や動産保険等の手続きが簡易である等点である。また、近年は、料率がかなり低くなっているためリースのメリットが大きくなる傾向がある。節税という点では、取得して定率法で償却すれば早く費用化できるため、その点では自己所有の方が有利といえる。以下、リースに関する手法を記載する。
リース会社各社とも様々な商品を提供するようになっている。是非とも多くの情報を活用することで、自院にとって最適な購入方法の選択に努めていただきたい。
今回は、統計分析等の意義・や購入方法・保守契約の在り方についてお話をした。少しでもお役に立てれば幸いである。