次期病院機能評価(機能種別版Ver.2.0)についての情報提供と考察(第2回)
2017年10月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

評価項目の改定についての変更点や注意点

今回も、次期病院機能評価(機能種別版)のVer.2.0についての情報提供と考察と題して、お話をしたい。

前回は「一般病院3」についての情報提供と考察をお話ししたが、今回は、評価項目の改定についての変更点や注意点等について記述したい。

まず、機能種別ごとの中項目であるが、項目数については、特に大きな変更点はない。その中で、全ての機能種別に共通した変更点から、記述したい。Ver.1.1からVer.2.0に変更された主な項目は、以下の通りである。

1.1.6 臨床における倫理的課題について病院の方針を決定している。

【改訂点】
中項目 臨床における倫理的課題に継続的に取り組んでいる。(修正)
視点 臨床倫理に関する課題を病院として検討する仕組みがあり、主要な倫理的課題について、方針・考え方を定めて、解決に向けた取り組みが継続的になされていることを評価する。(修正)
要素 倫理的な課題を共有・検討する場の確保(修正)
倫理的課題についての継続的な取組み(追加)
臨床研究に関する倫理的な審査(削除)

1.2.3 地域活動に積極的に参加している。(一般病院1のみ)

【改訂点】
中項目 地域に向けて医療に関する教育・啓発活動を行っている。(修正)
視点 患者・地域住民や、地域の医療関連施設等に向けた教育・啓発活動が、病院の役割・機能に応じて実施されていることを評価する。(修正)
要素 地域の医療関連施設等に向けた医療知識や技術等に関する研修会や支援の実施(追加)

1.2.3 地域に向けて医療に関する教育・啓発活動を行っている。(一般病院1以外)

【改訂点】
視点 患者・地域住民や、地域の医療関連施設等に向けた教育・啓発活動が病院の役割・機能に応じて実施されていることを評価する。(修正)

1.3.1 安全確保に向けた体制が確立している。

【改訂点】
要素 医療安全に関する多職種から構成された組織体制(修正)

1.3.2 安全確保に向けた情報収集と検討を行っている。

【改訂点】
視点 院内の医療安全に関する情報を収集・分析し、事故防止に向けた継続的改善活動を行っていることを評価する。(修正)

1.4.2 医療関連感染制御に向けた情報収集と検討を行っている。

【改訂点】
視点 院内の医療関連感染に関する情報を収集・分析し、感染防止に向けた継続的改善活動を行っていることを評価する。(修正)
要素 院内感染防止活動の継続的・定期的な把握(追加)

1.5.3 医療サービスの質の改善に継続的に取り組んでいる。

【改訂点】
中項目 業務の質改善に継続的に取り組んでいる。(修正)

1.5.4 倫理・安全面などに配慮しながら、新たな診療・治療方法や技術を導入している。

【改訂点】
一般病院1新設
視点 新たな診療技術や術式、治療方法、診療機器等の情報が収集され、導入に際しては、倫理・安全面や院内の支援体制も含めて検討していることを評価する。
要素 新たな診療・治療方法や技術の導入に向けた検討
新たな知識・技術の習得のための支援
臨床研究に関する倫理的な審査
一般病院1以外
視点 新たな診療技術や術式、治療方法、診療機器等の情報が収集され、導入に際しては、倫理・安全面や院内の支援体制も含めて検討していることを評価する。
要素 臨床研究に関する倫理的な審査

2.1.9 医療関連感染を制御するための活動を実践している。

【改訂点】
要素 標準予防策に関する遵守状況(追加)
手指衛生(手洗い・手指消毒)の徹底

今回は、第1領域(患者中心の医療の推進)と第2領域(良質な医療の実践1)について、主な項目を列挙したが、ここでのキーワードは、「継続的改善」、「地域医療への貢献」、「安全・感染対策」ということになるであろう。項目数は変わらずとも内容の濃さは、バージョンが上がる度に、細部にわたって評価されることになる。特に気を付けたいのは、日頃からの継続的活動の重要性である。併せて今後は、収集のみならず分析した結果をどう改善に活かしているかにも配慮が必要である。

次回は、第4領域(理念達成に向けた組織運営)に関する変更点について記述したい。少しでもお役に立てば、幸いである。

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