今回も、次期病院機能評価(機能種別版)のVer.2.0についての情報提供と考察と題して、お話をしたい。
前回は、第4領域(理念達成に向けた組織運営)に関する変更点について記述したが、今回は、まとめとして、機能種別版Ver.2.0における「機能種別固有の変更点」や「評価方法の強化」について記述したい。
「機能種別固有の変更点」として、今後益々重要度を増す、「2.2 チーム医療による診療・ケアの実践」について主な変更項目を記述する。
【改訂点】 | |
中項目 | 外来診療を適切に行っている(修正) |
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【改訂点】 | |
要素 | 安全に配慮した患者の搬送(追加) |
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【改訂点】 | |
要素 | 医師を含め、多職種を交えた定期的なカンファレンスの実施(修正) ADL評価の信頼性向上のための取組み(追加) |
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【改訂点】 | |
視点 | 疾病や障害に応じて、日常生活援助や診療の補助業務が適切に行われており、病棟の管理業務が確実に実施されていることを評価する。(修正) |
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要素 | 看護・介護職の専門性を踏まえた役割分担と連携(修正) 能力に応じた業務分担(修正) |
【改訂点】 | |
視点 | 疾病や患者の状態に応じて、日常生活援助や診療の補助業務が適切に行われており、病棟の管理業務が確実に実施されていることを評価する。(修正) |
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要素 | 能力に応じた業務分担(追加) |
【改訂点】 | |
要素 | 計画に基づくリハビリテーションの実施(追加) リハビリテーションの進捗状況の把握方法(追加) 早期からのリハビリテーションの実施(削除) |
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【改訂点】 | |
中項目 | リハビリテーションを確実・安全に実施している(修正) |
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要素 | 計画に基づくリハビリテーションの実施(追加) リハビリテーションの進捗状況の把握方法(追加) 早期からのリハビリテーションの実施(削除) |
「機能種別固有の変更点」については、上記に記載した通りだが、この中で注目したいのは、能力に応じた業務分担というキーワードである。ここ数年、人事評価を実施している機関が増えてきてはいるが、形だけの評価となってしまい、それらがうまく人材育成や評価に活かされていないことが多い印象がある。
どの世界でも同じことが言えるのであるが、事業を支えているのは、人材である。その人材を有効に生かすことで、事業の効率も上がり、業績アップにつながる。医療の世界においては、医療の質の向上と効果的な患者のケアにつながることが、自身の組織の確立になるのである。詳細は、割愛するが、黒字病院と赤字病院の違いにもそこが重要なポイントとして表れていると筆者は考える。
次に「評価方法の強化」に関する事項であるが、ここは一言でいうと常日頃からカルテの記載は、確実に丁寧に記載しておくことが重要であるという点である。今までは、医療機関で、患者を選択することができたが、今後は、機能側(サーベイヤー)が患者を選択することになる。事前に完成されたカルテをいくつか準備して対応するといったことができなくなるのである。特に、医師によって書き方が違う場合(丁寧な場合と簡易な場合)においては、カルテの記載基準の統一と質的監査が重要なポイントとなる。
今までは、量的監査が実施されていればよかったが、今後は、質的監査が必要となる。現状、まだまだ、質的監査を実施している医療機関は少ない。特に、中小規模の医療機関においては顕著である。今後、更に地域ケアネットワークが広がり、情報の共有が進んでいく時代となる。カルテは、PHRの最たるデータであり、人の人生データとしても重要なものである。質的監査を通じて、適切なカルテ記載に努めていただきたいものである。
さて、4回に渡り次期病院機能評価(機能種別版Ver.2.0)について、記載を行ってきたが、前回も記載した通りこの評価は、認定を受けることと同時に、院内を見直し・改善を実行する。併せて組織の確立と医療の質の向上を成し遂げるツールとしては、便利なツールである。是非とも自身の組織を確立し、医療の質を向上させ、機能を強化するために有効活用してもらいたい。
最後に、今後、医療機関は淘汰の時代に入る。来年の診療報酬改定(7:1の絞り込み)、2025問題、優秀な人材の確保、地域の医療圏における自身の立ち位置、地域医療機関との連携など、様々な問題がある。地域に貢献する医療機関としての役割を果たすためには、常に、進歩と進化を遂げる改革と実践が重要であると考える。そのため方法のひとつとしてIT化の推進も必要である。迅速な情報収集も必要である。一つ一つを丁寧に行うことで、医療機関としての役割が果たせるのではないかと考える。
また、機会があれば、コンサルタントとしての経験や情報提供など、皆様のお役にたてるようなことをお話ししたい。少しでもお役にたてば、幸いである。