今回は、電子カルテの導入における医学管理料の効率的算定に関する、増減点の事由について記述したい。
査定や返戻においては、理由を分析し、必要に応じて医事システムの点数マスタあるいは診療会計、会計カード時の手技チェックマスタの見直しや、レセプトチェッカー等のチェックマスタの見直しを行い、点検用チェックリストの作成及び条件の見直しなどを充実させる必要がある。
審査については、レセプトに記載されている診療内容について、療養担当規則や診療報酬点数表等の国が定めた保険診療ルールに則って行われているかどうかが審査される。そのうえで、診療内容が適切でないと判断されるものについては査定が行われ、医療機関には審査会から「増減点連絡書」が送られる。
査定の理由については、A・B・C・Dの記号で表示される。
(増減点事由)診療内容に関するもの
A:医学的に適応と認められないもの(病名もれなど) |
B:医学的に過剰・重複と認められるもの(過剰請求・重複請求など) |
C:A・B以外の医学的理由により適当と認められないもの (A・B・Dのどれにも該当しない曖昧なものがここに来る、査定理由も様々) |
D:告知・通知の算定要件に合致していないと認められるもの |
※Cは審査をする担当先生の考えによるものが大きいので、基金や国保に査定理由を聞いても「審査の先生の判断なので、(事務では詳しくはわからないので)再審査請求をして下さい」的な事を言われる。査定内容にもよるが、症状詳記などをつけて再審査請求をすれば復活する可能性はある。
ここで、システムを使って、レセプトに対する査定・請求漏れの試算をした結果があるので、紹介したい。
病院の規模及び機能については、一定ではないが、病院(2)においては、A・Bでの査定が多く、医師の協力の基、レセプトチェックを詳細に実施することで、早急な改善が可能であることがわかる。また、病院(3)においては、C査定が多く、審査員との見解の違いによるものが大きいことがわかる。再請求をして、どこまで改善できるのか、また、その項目が何なのかを検証することが改善につながることがポイントとなる。
全体としては、月額200~700万円の改善が見込める結果となった。各医療機関においても実施されていることだとは思うが、改めて検証をされることを推奨したい。
診療報酬関連報告書については、査定・返戻の増減点連絡書が届いたら、査定・返戻項目の分析を行い、対策をたて、今後に活かしていく事が大事である。分析を行わずにあまりにも間違いが多く同じようなミスを繰り返していると、最初は返戻で返ってきていたが、いきなり査定される(審査会から目をつけられる)こともあるので注意が必要である。
今までの内容をふまえて、あるべきシステムを考えてみる。
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医学管理料に関する算定や記載漏れは、どの病院にとっても悩ましい課題である。しかし、支援システムの導入や医事システムでのチェック、医事課、診療録管理室の運用支援などにより、全てとはいかないまでも改善できない問題ではない。
システム導入を検討する際は、購入費・維持費が発生するため、まずは自院の算定漏れや査定・返戻状況とシステム導入後の改善見込みについて導入効果の試算を行い、費用以上の効果が見込める場合は積極的に導入することも一つの手段である。
また、電子カルテとはいかないまでも、オーダリングや医事システムについては、大半の病院がすでに導入しているため、このレセプト電算データをうまく活用しないともったいない。まずは、自院の課題を分析し改善していくことが重要である。
医学管理料については、医療行為を医師が行い、適切に算定が行えればよいが、難しいのが現状である。改善に向けて重要となるのはシステム・運用両面でのサポートであるが、それには、サポートする側の事務の努力と、される側の医師の協力体制が不可欠である。先に述べた内容が事務と医師の連携づくりのヒントとなれば幸甚である。
今回は、電子カルテの導入における医学管理料の効率的算定(増減点の事由等を中心)について記述した。
少しでも皆様のお役にたてれば幸いである。