新型コロナウイルス感染症の影響により、今、多くの医療・健診機関で経営が悪化している。 職員の疲弊感も蔓延しており、働き方改革をはじめとした新たな取り組みが必要となってきている。
現場からの声をもとに、新型コロナウイルス感染症の影響と今後の医療・健診機関の事業継続のあり方について考察し、まず今回は、医療機関における影響について記述する。
1月31日 世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言。 2月 1日 新型コロナウイルスが感染症法の指定感染症に指定。 3月11日 WHOがパンデミック(世界的流行)を表明 3月14日 改正新型インフルエンザ等特措法が施行 4月 7日 東京、大阪、福岡など7都府県に緊急事態宣言 4月16日 緊急事態宣言を全都道府県に拡大 5月14日 8都道府県を除き、緊急事態宣言を解除 5月21日 近畿3府県の緊急事態宣言解除 5月25日 首都圏と北海道の5都道県も宣言解除 6月19日 移動制限解除 |
第一波については、6月に一度波を超えた様子が伺えたが、現在、PCR検査の充実もあり、第二波と呼ばれる感染拡大の傾向が見て取れる状況である。
今後、再度、緊急事態宣言が出されるかは不透明なところもあるが、各自治体は、感染拡大防止に向けた対策を行っている。
※出典:全日本病院協会「四病協のうごき」より
これは、令和2年4月時点での全国の指標比較であるが、やはり対前年比で見ると、未受入病院よりも受入病院の方が、赤字幅が大きくなっており、全体的にも赤字が大きくなっている傾向が見て取れる。
※出典:全日本病院協会「四病協のうごき」より
東京都においては、さらに厳しい状況となっており、受入病院においては赤字が約25%と、経営継続において大変危険な数字となっている。
※出典:全日本病院協会「四病協のうごき」より
外来・入院とも大幅な減少となっており、今後の病院経営に不安を残す結果となっている。
※出典:全日本病院協会「四病協のうごき」より
新型コロナウイルス感染症患者受入病院(約370病院)においては、やはり当該患者の受け入れによって病床利用率が大きく下がっており、なんと2020年4月期には70%を下回るなど、病院経営としてのレッドゾーンに陥っている状況である。
※出典:全日本病院協会「四病協のうごき」より
新型コロナウイルス感染症の影響により病院経営は厳しくなっており、全国の3分の2の病院が赤字に転落している。特に、東京都に所在する病院は非常に厳しい状況にあり、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院の9割が赤字に陥っている。
日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が6月5日に公表した「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」の追加報告から、こうした状況が明らかになった。
東京都の新型コロナウイルス感染症患者受入病院における対前年比のデータであるが、やはり4月から30%近い減少傾向となり、5月においては40%の減少となっている。
6月に入り少しずつ戻してはきているが、予断を許さない状況が続いている。
九州の新型コロナウイルス感染症患者受入病院における対前年比のデータである。東京都との比較では、減少率が緩やかではあるが、やはり診療制限の結果、外来患者数で約30%の減少となっている。しかしながら、入院の収入については、減少率が10%未満に収まっており、総収入についても最大13%減にとどまっている。
医療機関の事業継続に向けては、以下のことに気を付けて、幅広い視点から実施をしていくことを推奨したい。
今回は、「医療・健診機関における新型コロナウイルス感染症の影響」の前編として医療機関について記述した。次回は、後編として健診機関について記述したい。
少しでもお役にたてれば幸いである。