前々回からオンライン資格確認について記述してきたが、最終回の今回は、そのメリットと課題そして今後について記述する。
オンライン資格確認の導入メリットとしては、主に以下が挙げられている。
さらに具体的なメリットとしては、以下のことが考えられる。
現時点では、マイナンバーカードの普及がまだ進んでいないこともあり、上記のメリットを最大限に有効活用できるとは言えない状況ではあるが、今後、確実にオンライン資格確認が進んでいくことで、業務の効率化と薬剤情報や健康情報などの共有によるデータの有効活用を図ることが可能となる。
オンライン資格確認の課題として、まずはマイナンバーカード普及率の向上であろう。
カード取得に向けた手続きが面倒であり、利用者へのメリットも限られていることから、交付枚数の伸び率も政府の思惑とは遠いものとなっている。交付割合は令和2年12月時点で全人口の2割程度となっている。
今後、マイナンバーカードの取得手続きの更なる簡素化やスマートフォンでの保険証利用システムの開発、健康保険証利用申し込みのためのアクセスポイントを増やす等、様々な手段を講じて普及率の向上が図られることに期待したい。
また、オンライン資格確認の対象外保険の存在やシステム連携における導入時の費用負担についても課題となっている。
以下、システム連携についての注意点を記述する。
オンライン連携においては、ネットワークの改修も必要であるため、各対象システムベンダーとの詳細な打ち合わせが必要となる。
その際に、資格確認のためのインターネット回線が常時外部とつながることになり、ウイルス侵入等セキュリティ上の問題も解決しなければいけない。
課題という点においては、マイナンバーカードの普及率の向上及び保険証としての役割の定着が一番の課題であり、個人情報の保護の問題やセキュリティ対策などの問題もある。また、国からの補助があるとはいえ、システム導入に伴う医療機関の費用負担が発生する点にも注意が必要である。
厚生労働省としては、令和3年3月末に医療機関・薬局の6割程度でオンライン資格確認等システムの実施に必要な顔認証付きカードリーダー導入を目指しており、早急に追加財政補助等の検討を行うなどの「マイナンバーカードの保険証利用の普及に向けた加速化プラン」を実行している。
加速化プランの概要は以下の通りである。
また、厚生労働省においては、オンライン資格確認の今後について、データヘルスの基盤とするため機能を拡大していくと述べており、これらの対応を含めたマイナポータルの利用拡大など、一人ひとりの健康データを取得・開示することで、医療費の抑制と診療効率の向上を目指していくことになる。
出典:厚生労働省ホームページ(令和2年12月4日掲載資料)より
マイナンバーカードというツールを使い、顔認証システムによる個人の特定と確認を行うことで、様々なPHR(Personal Health Record)の取得がなされ健康な国づくりに生かされていくことを期待したい。
今回は、オンライン資格確認のメリットや課題そして今後について記述した。
少しでもお役にたてれば幸いである。