今回は、引き続き医療機関へのヒアリングから、「2022年診療報酬改定」に関わる各医療機関の具体的な算定への取り組みとその中からキーワードとして、医療機関連携と人材育成を取り上げて記述していきたい。
以下の2つの取り組み事例を列記する。
地域の医療機関と連携し、必要時に感染対策に関する助言を行う体制の整備を行った。
まずは、専従医師または看護師からなる感染制御チーム体制を構築し、今後、地域の加算2、3または外来感染対策向上加算の医療機関に赴いて、院内感染対策等に関して助言していく。
在宅患者訪問はクリアしているが、自院の一般病棟からの転棟が6割以上となったため、老人保健施設や自宅からの入院の増加を目指して活動していく。
医師事務作業補助者を2名拡充して、75対1から40対1の算定を目指していくこととした。
継続的な評価は地域としてこれまでやってきたことから、二次性骨折予防継続管理料1および3を算定する。
保険適応ができるようになったので、一般不妊治療管理料を算定する。ただし、施設基準を満たすことができなかったため、人工授精は不可となった。
2022年3月まで加算1の相手方になっていたA病院が加算2しか取れなくなったことから、改めて加算1の相手方を模索。結果、同地区内の同規模でライバル病院でもあるB病院と加算1で同志連携することとした。
また、個々のクリニック等から「外来感染対策向上加算」算定のための連携先として問い合わせがあったが、個々での対応には無理があるため、同区内の2つの医師会「C医師会」「D医師会」に取り纏めを依頼し、合計約70の医療機関と連携することになった。
今後は、コロナ禍において、これらの医療機関との研修や訓練の方法を検討しなければならない状況となっている。
当該院の看護師が看護補助者の業務を理解するための研修が必要ということから、既に外部研修を受けた職員が講師となって研修会を開催する予定としている。
当該院の症例数は年間数例ほどであるが、「関係学会のガイドラインに沿った継続的な骨粗鬆症の評価」が必須となっているため、担当医師に説明して理解いただいた。
上記2つの医療機関の状況から言えることは、病床の規模ではなく地域の特性や自院の機能と役割にあった算定を積極的に取り込むためにはどうしたらよいかを考え、速やかに取り組むことの重要性が見て取れる。
今回は、その中から、医療機関連携と人材教育をキーワードに、感染対策向上加算と医師事務作業補助体制加算について考察したい。
感染対策向上加算については、それぞれの地域における自院の役割に応じた体制の構築が求められているため、「感染制御チーム」の編成と病院間連携が重要である。各医療機関とも感染対策向上加算1を目指して、取り組みを検討しているようであるが、現実的には現時点でその体制が構築できた医療機関は少ないように感じている。
大手グループ病院の中でも、地域医療の安全性確保のために、感染対策の核を担う役割があるにもかかわらず、その8割が人員の確保ができない、必要なキャリアを持った人材がいない等の理由で、感染対策向上加算1を取れないという話も聞いている。
感染対策向上加算については、自院の体制を見直すと同時に、連携や記録、各種マニュアル等の整備を速やかに行うべきである。その上で、強化加算をしっかりと取得することが重要であると考える。
医師事務作業補助体制加算については、今回点数が大きく上乗せされている。ここから見えるタスクシフティングを、今後医療機関はどう考え動いていくのであろうか。
医師事務作業補助者については、3年以上のキャリアで配置区分ごとに5割以上という要件がある。ここでも専門性が求められるようになってきていると考えてよいのではないか。
それ以外においても各種加算について、研修要件等が多数加えられている。一言で言うならば、今更ではあるが、専門的知識を持った職種は、その業務に特化し、医療の質を向上させることで、患者をサポートしていくことに重点を置きなさいということである。
この加算については、医療機関全体で、職種別の業務内容の詳細確認を行い、誰が何をするかを具体化する良い機会であると考える。そのためにも業務マニュアルの見直しが必要であり、定期的な更新が重要である。
病院機能評価のコンサルティングを行う際、マニュアルはあるが見直しをされていない、作成者が不明でどこにあるかわからないという場面に出会うことがいまだにあるのも事実である。
今回は、医療機関における「2022年度診療報酬改定」に係る対応の状況から、医療機関連携と人材教育をキーワードに、「感染対策」と「医師事務作業補助者」ついての考察を記述した。少しでもお役にたてれば幸いである。
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