2022年度診療報酬改定に関わる医療機関の取り組みについて(対談)
対談(医療コンサルタント)【後編】
2022年10月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

今回も「2022年診療報酬改定」について、医療コンサルタントとの対談概要(後編)を記述したい。

2.診療報酬改定(続き)

B氏
人員配置については、今回数多くの加算対象になっています。その中で管理栄養士についてですが、主なところで以下の要件があります。

【管理栄養士に関する加算】

区分 内容等
周術期栄養管理実施加算(新設) 周術期の栄養管理に十分な経験を持つ専任の常勤管理栄養士が配置されていること。
入院栄養管理体制加算(新設)
※特定機能病院のみ
専従の管理栄養士が必要。入院時支援加算の届出が必要。
  • 入院基本料及び特定入院料に係る褥瘡対策→薬剤師も実施

    栄養管理に関しては栄養管理計画書をもって省略できる。体重減少、浮腫などの褥瘡対策に必要な事項の記載があること。

化学療法に係る栄養管理の充実
  • 外来栄養食事指導料

    医師の指示に基づき、専門的な知識を有する管理栄養士が具体的な献立等によって指導した場合、月1回に限り260点算定。

施設基準
外来栄養食事指導料の注1に規定する基準悪性腫瘍の患者の栄養管理に係る専門の研修を修了し、当該患者の栄養管理を行うにあたり、十分な経験を有する専任の常勤の管理栄養士が配置されていること。

注1:別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して、医師の指示に基づき当該保険医療機関の専門的な知識を有する管理栄養士が具体的な献立等によって指導を行った場合に限り、月1回に限り260点を算定する。

A氏
その他としては薬剤師も専任、専従が多くあります。関わった病院によると、現在の人員数では、その全てに対応ができず、取れていない算定もあるとのことでした。
ただ、女性の多い職場(給料、家庭の事情で退職が多い)だと募集をしても来ないといった状況で頭を痛めていました。

B氏
その他、治療、疾患動向に対する治療等の点数が適正化されていると感じます。また、医療と在宅の連携に関する部分の強化も進められています。

A氏
診療情報といった部分でいうと「診療録管理体制加算」と「報告書管理体制加算」が新設されたところも興味深い点だと考えます。

【診療録管理体制加算(新設)】

〔施設基準〕

1. 許可病床数が400床以上の保険医療機関については、以下の要件を加える。

  • 専任の医療情報システム安全管理責任者を配置すること
  • 当該責任者は、職員を対象として、少なくとも年1回程度、定期的に必要な情報セキュリティ研修を実施していること

2. 許可病床数が400床以上の保険医療機関については、非常時に備えた医療情報システムのバックアップ体制を確保することが望ましい。

  • 毎年7月において、医療情報システムのバックアップ体制等について、別添様式により届け出ること。

〔届出内容(例)〕

  • バックアップ対象のシステム
  • バックアップの頻度、保管方式

【報告書管理体制加算】

7点(退院時1回に限る)

〔対象患者〕

画像診断又は病理診断が行われた入院患者

〔施設基準〕

  1. 放射線科又は病理診断科を標榜する保険医療機関であること
  2. 医療安全対策加算1又は2の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関であること。
  3. 画像診断管理加算2若しくは3又は病理診断管理加算1若しくは2の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関であること。
  4. 医療安全対策に係る研修を受けた専任の臨床検査技師又は専任の診療放射線技師等が報告書確認管理者として配置されていること。
  5. 組織的な医療安全対策の実施状況の確認につき必要な体制が整備されていること。
  6. 当該保険医療機関において、報告書確認管理者、画像診断を担当する医師、病理診断を担当する医師、医療安全管理部門の医師等から構成される報告書確認対策チームが設置されていること。
  7. 報告書の確認対策を目的とした院内研修を、少なくとも年1回程度実施していること。
  8. 報告書確認の実施状況の評価に係るカンファレンスが月1回程度開催されており、報告書確認対策チームの構成員及び必要に応じて当該患者の診療を担う医師、画像診断を担当する医師、病理診断を担当する医師、看護師等が参加していること。なお、当該カンファレンスは、対面によらない方法で開催しても差し支えない。

A氏
この加算は外来患者の見落としが多くあり、問題となったことから新設された加算となります。
例えば、取りっぱなしで帰ってしまい、次回受診までに時間が空いている、若しくは来院しないでそのままとなってしまい病状が悪化したといった事例が考えられます。
レポートの既読管理に担当する放射線技師、検査技師の労力に比べると今回の点数は少ないと感じますが、加算新設によりシステム導入に踏み入った病院もあります。
実際に、現在関わっている病院も急遽システム同時稼働になりました。今後システム導入により、既読管理の効率化と見落としの防止に繋がることを期待します。

B氏
今回の改定は、2年後の同時改定に向けて良い布石になっていると思います。
感染対策、働き方改革、人材育成、これら全てを網羅しており、各医療機関は今回の改定内容を精査し、早急に対策を講じる必要があると感じています。

A氏
そうですね、今後に向けての検討は早い方が良いと思います。半年後の改定検証を基に、次回の同時改定のための対策を協議しておくことを推奨したいです。

前回に引き続き、今回も「2022年診療報酬改定」に関して、医療コンサルタントによる対談概要を記述した。

少しでもお役にたてれば幸いである。

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