はじめまして、この度コラムを書かせていただくことになりました。
医療ITコンサルタント・コーディネーターをしております、株式会社 Benett One(ベネットワン) 代表取締役 米山正行と申します。
私は診療放射線技師として20年、管理職として7年の病院勤務経験から医療者(現場)に近い目線と経験を生かして、医療IT化をスマートに無駄なく稼働まで進め「意味のあるIT導入!メリットあるIT導入!」をモットーに病院ITシステム導入のお手伝いができたら幸いと思っております。
今回は「病院IT化のいろは・・・」ということで全4回、導入が無駄なく、施設にとって意味のあるシステム導入に導くための「?」を筆者の経験を元に考えを述べさせていただきます。
まず第1回目として『病院IT化 成功のカギ -意思決定時に「なぜ?なんの為に導入するのか」をしっかり考える-』と題して書かせていただきます。
病院のIT化は1970年代のいわゆるレセコンに始まり、PACS・電子カルテと進み、医療におけるIT化は着々と進んでいるようにみえます。大規模病院(400床以上)では実際に病院IT化は進んでいますが、中規模病院(100から399床)や100床以下の病院での普及率はそれほど進んでいない・・・というデータはよく目にすると思います。なぜでしょう?
その多くは莫大な費用とそれに対してのメリットが見つけられないからではないでしょうか?
そういった考えでIT化を始めようなんて思っていませんか?
このような考えでIT化を進めることは、病院にITシステムを入れただけになりかねません。
病院経営を考えた時に、病院IT化で莫大な費用を使って単にIT化したのだけでは病院の経営自体も脅かす可能性も否定できません。病院IT化のメリットやIT化でもたらされる効果を「なぜ?なんの為に導入するのか」というところから、しっかり想定することが重要と考えます。
メリットや効果の考え方は各病院それぞれであるとは思います。一例としては「各病院の強みを創出」または「業務の改善による効果への期待」などの考えがあると思われますがいかがでしょう?
こういった事柄をしっかりと検討することが、この後に重要となります。そして、考え方や方向性を導き出す為の最もシンプルなやり方があります。
一般的だと思われる方もいらっしゃると思いますが、意外としっかり考えられていない施設があると筆者は思います。それは病院IT化するために掲げる「目的・目標」を明確に設定するということです。では、今更ながらと思う方もいらっしゃると思いますが「目的と目標」その効果とは・・・を考えたいと思います。
それでは「目的・目標の設定」を考えてみたいと思います。
私たちは日頃から「目的・目標」などの言葉はよく使っていると思われますが、厳密に「目的・目標」の違いは?と聞いてスラスラ答えられる人はなかなかいないと思います。
この二つの言葉には大きな違いがあります(ここで詳細は割愛させていただきますが・・・)この言葉を理解して、病院IT化の目標はなにか?目的はなにか?を決定することによって「なぜ?IT化にするのか?」という考えがスッキリと出てきます。
例えば・・・病院にはそれぞれ病院内で抱えている業務上の問題点や運用上の問題点があるかと思います。また、各病院には「理念・方針」などもあるかと思います。それらの問題点の改善や「理念・方針」の考え方に沿った方向に導く為のITシステムの導入、または病院の強みを創出する為のITシステムの導入という考え方ができた際に、病院はITシステム化を明確に推進することができ、IT化するための価値が理解できるのではないでしょうか?
病院にとって大きなイベントとなる病院IT化を、単にインフラ整備だけとしてしまうのか、それとも病院にとってのメリットや強みを作り出すイベントとするのかは「目的・目標」を多くの諸条件から分析を行い、的確に明示することが重要と考えます。
また、これらを的確に考えることができた施設は、その後の導入プロジェクト進行やベンダー選定などの重要なイベントを合理的に進行させることができ、稼動予定日の遅延もなく、予定通りのスムーズなIT稼動に必ず繋がっていくと考えられます。
このように「目的・目標」の設定や運用の仕方はいろいろあると思いますが、こういったことを的確におこなうことは、IT導入以外のプロジェクトにも当てはめて使うことも出来ると思います。
これから病院IT化を始めていこうという施設の方には、今回のコラム内容を頭の片隅に置いていただけたら幸いです。筆者の経験を踏まえた考えが、導入を検討している施設のIT化が合理的に進むためのお役に立てる事を願っております。
次回は予算設定等について話しをさせていただけたらと思っております。
ありがとうございました。