今回は2020年1月に開催された「医療セミナー2020」の中で、医療経営コンサルタントの株式会社アイ・ピー・エム 代表取締役 田中幸三氏による「医学管理料における算定フォローシステムの在り方について ~算定フォローシステムを使った医療機関への効果について考える~」についてお伝えしたいと思う。
「厚生労働省保険局医療課医療指導監査室 保険診療の理解のために【医科】平成30年」の中ではこのように記載されている。(一部抜粋)
(1)医学管理等医科診療報酬点数表における「医学管理等」とは、処置や投薬等の物理的な技術料と異なり、医師による患者指導や医学的管理そのものを評価する診療報酬項目である。項目ごとの算定要件や算定回数制限など、請求上留意すべき事項についても知っておく必要があり、レセプトチェックの際等に十分確認する必要がある。 (2)算定上の留意点対象患者に対し、単に指導を行ったのみでは算定できない。指導内容、治療計画等診療録に記載すべき事項が、算定要件としてそれぞれの項目ごとに定められていることに留意する。 (3)いわゆる「自動算定」について医学管理料の算定対象となる状態にある患者に対し、請求事務担当者のみの判断で 一律に請求を行う、いわゆる「自動算定」は、極めて不適切な請求行為であり、不正請求の温床となり得る。 医学管理料の算定が可能か否かについて、算定要件(対象疾患、記載要件等)を満たしていることを主治医が自ら確認し、算定する旨を請求事務担当者に伝達する必要がある。 |
医学管理料算定には上記要件があり、これら要件を満たさない場合は返還の対象となる。特に上記にある「自動算定」については気になる医療機関、事務職員の方がいるのではないかと思う。
また、算定漏れが多いのも医学管理料と言われている。算定漏れに気付いていない医療機関も少なくないのではないだろうか。
田中氏の講演では医学管理に関する課題として以下が挙げられた。
また、不備の可能性については、以下が挙げられた。
このような課題・問題がある医学管理料算定においてシステム化するメリットとしては「矯正する力と平準化する力」がある。
システム導入によって「指導忘れ・記載忘れ」への気付き、システムチェックから算定可能な項目を知らせることによって、認識や理解度の異なる医師の状況改善になるということである。このような課題・問題が解消できるのであれば、導入メリットが多いのではないかと考える。
算定可能な医学管理料の課題や問題点を精査することで、患者のQOLの向上、医療の質の向上、医療収益の改善に寄与することを目的とする。
着実にシステム導入効果を得るためには、動機付けから効果測定までのライフサイクルが重要である。
医学管理料は医師等が行った医学管理・指導に対して算定できる加算項目であり、採算のよい加算項目といわれている。しかし医学管理料は、適切な管理・運用ができなければ、算定漏れ、返戻といった問題が生じる。
この問題解決に向けた「指導管理算定フォローシステム」は算定運用を適正なものに改善するツールとしては良いシステムだと感じる。
しかし、当システムを導入しているある医療機関では、システム活用率がよろしくないそうだ。その原因を確認したところ、診察終了前に算定チェックボタンをクリックする必要があり、クリックしないで診察が終わってしまう医師が多いとのことだ。
このような原因による活用率の低下を改善するには、使用に慣れることで解消されると考える。慣れるまでの期間を短くしたいのであれば、医師へのアナウンスを確実に行うことが重要であり、短期間で活用率上昇、医学管理料の算定漏れ減少、運用の適正化につながる。
このシステムは、病院経営に貢献する数少ないシステムではないかと思う。病院としては、このようなシステムを上手に利活用する方法を検討することが重要な時代に入ってきたと感じる。
これからシステム導入を検討している病院では、このような着眼点をもって検討することをお勧めしたい。
今回の内容が少しでもシステム選定等に向けた参考になれば幸いである。
最後までお読みいただきありがとうございました。