あけましておめでとうございます。
新年第1号のコラムは新春特別号でお届けします。
2015年に登場するであろうサービス、製品、イベントや注目のキーワードなど、今年のトレンドを「予想」してみました。
テレビで試合を観戦しながら、選手のデータをスマホやタブレットで見る「セカンドスクリーン観戦」が、2015年のトレンドになりそうです。
既に、2014年にサービスを開始したパシフィックリーグマーケティング(PLM)のネット中継サービス「パ・リーグTV」では、選手の対戦成績や状況別の打率など、15種類のデータを配信していますが、2015年はデータ量を倍増させる予定です。
また、14年9月からサッカーの試合データをリアルタイムに表示するアプリ「リアサカLIVE Jリーグ」の提供をデータスタジアムが始めています。
14年は各節1試合のみ配信でしたが、15年は対象試合数を増加させて、「誰を中心にパスが廻っているか」「どちらがボールを支配しているか」など、グラフやチャートを使用してグラフィカルにデータの提供を行うようです。
このアプリ、テレビ視聴やスタジアム観戦の必須アイテムになるかもしれません。
海外では、よりエンタメ色の強いアプリも誕生しています。米国の「プリプレイ」はユーザーに次の試合展開をクイズ形式で質問し、正解するとポイントがもらえるなどゲーム的な要素が強化されています。
今年はこのようなビッグデータを活用するサービスやアプリが普及し、「次のプレー」を予測してクイズ形式で答える「参加型アプリ」が起爆剤となって、スマホやタブレットを手に試合を観戦する、ソーシャルビューイングのスタイルがスポーツ観戦の定番となるのでしょうか?
2020年夏に開催される東京五輪に向かって、マルチスクリーン視聴によるソーシャルビューイングのサービススタイルが確立できれば、ネットワークとビッグデータを活用した先進的なスポーツ観戦のビジネスモデルとして、世界に向けて発信できると考えています。
先行きの見えない景気動向がそうさせるのか、普段は堅実な生活をおくりながらたまには「ハジケたい」願望を持つ、パリピ(休日パーティーピープル)と呼ばれる人々が増加中です。
2014年9月、世界最大級のEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)の催しEDMフェス「ULTRA」が東京のお台場で開催され、2日間で4万人が参加しました。
この「ULTRA」今年はより規模を拡大して開催されることになっていますし、「ULTRA」とともに世界3大EDMフェスと呼ばれる、「Tomorrowland」や「EDC」も、今年は日本で開催されるかもしれません。
海外では、音楽やスポーツがテーマではなく、単に騒ぎたい要望に応えるようなカラーパウダーを浴びながら走る「カラーラン」や、水鉄砲で水を掛け合いながら走る「RUN Drenched」など、ユニークなイベントも開催されているようです。
このような都市型フェスは、都市部の近郊で開催されるため、生活圏の中で「非日常」感を味わえるのが特徴で、気軽に「ハレの場」を体験したい人々のニーズにマッチしています。
そして、このようなイベントの参加者はソーシャルメディアを通じて、互いの共感をシェアし合い、お揃いのコスチュームで仲間と楽しむ写真は、SNSに投稿されて拡散して行きます。
日常生活の中で「非日常」を味わえる都市型フェスに多くの人々が殺到するように、「普段は地味でも時にはハジケたい」そんな「休日パリピ」が増加すると、地域活性目的で自治体がプロデュースする「都市型パリピフェス」が出現するのではと考えるのは私だけでしょうか。
リストバンド型やゴーグル型など、身に着けて使用するウェアラブルな端末機器が既に発売されていますが、2015年はこのウェアラブル機器の注目株が現れそうです。
まず、今年の春に発売予定の機能性眼鏡「JINS MEME」(ジェイアイエヌ)は、センサーで眼電位を測り、まばたきと眼球の動きを計測する機能を持っています。
これらの機能を活用することで、従来は可視化が難しかった疲れや眠気、集中度などを監視することができるようになり、目の動きからは、着用しているユーザーの興味や関心を知ることも可能になります。
フィットネスに特化したウェアラブル機器「C3fit IN-pulse」(ゴールドウィン)は、着ているだけで心拍数の常時モニタリングが可能で、トレーニング時だけではなく、日常の体調管理にも役立つと期待されています。
そして、2015年はこれらのウェアラブル機器を活用したサービスが登場します。NTTドコモはフィットネスアプリの利用者を対象として、トレーニング量に応じてポイントがたまる仕組みを導入する予定です。
このような利用者の便益を訴求する仕組みが普及すれば、自治体が住民を対象として健康プログラムの参加者にポイントを還元するなど、新たな施策展開も見えてくると考えられます。
自分が応援したい自治体に寄付をすると、一定額を上限に住民税や所得税が減額される「ふるさと納税」制度ですが、2015年は「地方創生」の目玉として税金の減額対象となる寄付の上限が現行の2倍に引き上げられる見込みです。
この制度改正によって、全国1742市区町村のアピール合戦に拍車がかかり、旅行や花火大会のプレミアムチケットをお礼にするなど「体験サービス」を売りにする自治体が増加すると予想しています。
このような「体験サービス」としては、新潟市が2014年8月に同窓会プロデュースを手がける「笑屋」と組んで開催した「30歳の大同窓会MITOE in 新潟市」がよく知られていますが、このイベントには約4割が市外から参加しています。
今年は、この同窓会イベントと「ふるさと納税」が連携していくのではないでしょうか。
同窓会がお礼の品として採用されると、参加者は実質2000円程度の負担で、同窓会参加が可能になり、同時に納税で故郷にも貢献することもできます。
市区町村にとっては、地元での消費や税収増を見込める他、地域外から若者を呼び戻すきっかけになるなど、自治体・納税者の双方にメリットがあると思われます。
こうした「ふるさと納税」のイベント化は、目立った特産品がなく、本来得られるはずの住民税が他の地域に流出している大都市圏の自治体に朗報になると考えます。
2015年2月、家庭用ロボット「Pepper」(ソフトバンクモバイル)が発売される予定です。
この「Pepper」人の言葉だけではなく、表情や声のトーンなどを感知して、身ぶり手ぶりを交えて受け答えすると言われています。
このロボットの販売価格は、約20万円と誰もが手が出せる価格ではありませんが、人とコミュニケーションできる安価な家庭用ロボットは既に登場しています。
2014年7月に発売された、犬型ロボット「ハローズーマー」(タカラトミー)がじゃれたり、お手をする様子はまるで本物の犬のようです。
また、タカラトミーが今年発売を予定している「Robi jr」(ロビジュニア)は、「おはよう」「行ってきます」などの言葉を認識して、それに対して返答したり、呼びかけに応じて歌を歌ったり、じゃんけんなどのゲームもできるそうです。
この「Robi jr」座って手足を動かしますが歩行はせず、機能を絞り込むことで、低廉な価格1万5000円を実現させています。
今年はこのような低価格のロボットが、ブルートゥース経由でスマホと接続して、ネットワークにつながるなど、大きく進化する可能性があります。家庭用ロボットがネットにアクセスできれば、会話のデータベースをクラウド上に置くことで、会話能力を向上させたり、ロボットに話かけることで家電を制御したり、ネットを検索することもできると思います。
低価格の家庭用ロボットが、ネットとつながることでその機能を向上させて、高齢者などの生活をサポートするツールになれば、ロボットを情報端末のように活用する、自治体の高齢者向け情報発信サービスも可能になると考えます。
今回は新春特別号として、今年のトレンドになりそうなものを大胆に「予想」してみましたが、今後もこのコラムでは、独自の観点から、システムのあり方や、その先にあるビジネスモデルなどについて、考えたいと思っています。
このコラムは新年の初日の出をイメージして、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴きながら書いています。
最後に「ニーチェ(哲学者)」の著書「ツァラトゥストラはかく語りき」から一節をご紹介して、今回のコラムを終わります。
「これがわたしの道なのだ、あなたがたの道は、どこにあるのか?」
それでは、次回をお楽しみに・・・