マイナンバー法の改正(改正マイナンバー法)を含む「デジタル社会形成基本法等の一部改正法」が2024年5月31日に成立し、6月7日に公布されました。
この改正によって、マイナンバーカードの基本4情報等(氏名、生年月日、住所、性別、マイナンバー、顔写真)の証明機能もスマートフォン搭載が可能になり、各種手続き等での利便性向上が期待されています。
これにより、行政手続きの際に役所に出向く必要がなくなり、時間と手間が大幅に削減さることや、民間サービスでの利活用、オンラインショッピングや銀行口座の開設など、多岐にわたる利用が可能になると思われます。
物理的なマイナンバーカードと、スマホに搭載されたマイナンバーカード機能には、いくつかの違いがあります。物理カードはカードリーダーが必要ですが、スマホに搭載された場合、スマホ自体が認証装置として機能します。
このため、ICカードリーダーが不要となり、ログインや手続きが迅速に行える利便性が高まります。また、スマホには生体認証機能等の個人認証機能が搭載されているため、セキュリティ対策がさらに強化される点も大きなメリットです。
マイナンバーカード機能のスマホ搭載によって、マイナポータルに簡単にログインできるようになり、各種行政手続きや申請のオンライン完結が可能になります。また、ネットバンキングやオンラインショッピングなどでも、スマホを使った個人認証が可能になり、ICカードリーダーや暗証番号の入力が不要になります。
また、各種証明書の発行や納税手続きなどが、スマホ一つで簡単に行えるようになります。2024年度の確定申告にも対応することが予定され、さらに、2024年秋には健康保険証とマイナンバーカードが一体化した「マイナ保険証」も導入される予定です。
これにより、医療機関での受付がスムーズになり、健康保険証の紛失リスクも軽減されます。このように、マイナンバーカード機能のスマホ搭載により、日常生活が一層便利になっていくことが期待されます。
そして、マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載によって、銀行・証券会社の口座を開設する際の個人認証や、行政手続きでは子育て支援や転居、確定申告などがスマートフォンだけで手続きができるようになると思われます。
これまでは、確定申告の際にマイナンバーカードをカードリーダーで読み込む必要があるなど、手続きが面倒で複雑といわれていた課題が解消するのではないでしょうか。
これまで、Androidスマホについては、電子証明書の搭載サービスを2023年度(令和5年度)より開始していましたが、2024年5月30日に岸田首相と米Apple社CEO ティム・クック氏の間でテレビ会談が行われ、iPhoneについては、2025年(令和7年)春に、マイナンバーカード機能の搭載について、確認が行われました。
いまや誰もが日常的に持ち歩くデバイスとなったスマホですが、これにマイナンバーカードが持つ電子証明書機能が搭載されることで、対面・非対面に関わらず、今後は様々な生活シーンにおける本人確認、年齢確認、住所確認など、手続き時の利便性向上が期待されます。
スマホにマイナンバーカードの機能を搭載するための手順は簡単です。まず、対応するスマートフォンを用意して、専用のアプリをインストールします。次に、マイナンバーカードを手元に用意し、アプリの指示に従って申し込み手続きを進めます。
具体的には、マイナンバーカードを読み取り、本人確認を行った上で、電子証明書のインストールを行います。これにより、スマホがマイナンバーカードとしての機能を持ち、各種サービスの利用が可能になります。なお、対応するスマートフォンやアプリのバージョンについては、デジタル庁のWebサイト等で順次公開される予定です。
また、スマホ用電子証明書は、世界各国においても導入事例があり、主に実空間での「物理的な身分証明書」とオンラインでの「電子的な身分証明書」の2つの用途で利活用が推進されています。
デンマークでは、スマホ用電子証明書をスマートフォンアプリ化することで、公共交通機関の定期券購入やホテルチェックインなど、住民の利便性向上を図り、スウェーデンにおいては、スマホアプリ化した電子証明書が日常的に利用され、スマホでの身分証明書提示が普及しています。
従来のマイナンバーカードと同様に、スマホ搭載マイナンバーカードでも、マイナポータルへのログインや、各種行政手続きのオンライン申請、民間オンラインサービスの利用などが可能になります。さらに、スマホ搭載ならではの便利な機能も続々登場すると考えられます。
マイナンバーカード機能のスマホ搭載によって、利用者はマイナンバーカードを持ち歩く必要がなくなり、スマートフォンだけで本人確認ができるため、銀行口座開設や携帯電話の契約など、民間サービスにおける本人認証もスマホで行えるようになります。
また、従来の住民票のコンビニ交付サービスや「e-Gov」「e-Tax」への対応、医療機関での健康保険の資格確認の他、災害発生時における避難所での入退所管理や被災者支援手続きのオンライン化等での活用も期待されています。
そして、スマートフォンならではの特徴として、スマホが保有する生体認証(顔認証や指紋認証)を活用することで、ハイレベルなセキュリティを確保しながら、より安全・安心なサービス提供が可能になると思われます。
今後、マイナポータルアプリを通じて、スマホ用電子証明書で利用可能なサービスが順次拡大すると思われますが、子育て支援や転居・引越しの手続き、薬剤・健診情報の閲覧、各種民間オンラインサービスの申し込み・利用など、利用範囲が拡大するのではないでしょうか。
セキュリティの強化については、マイナンバーカード機能のスマホ搭載にあたり、幾つかの対策が講じられていますが、二段階認証や生体認証(指紋認証や顔認証)を活用することで、より高いセキュリティレベルを維持することができると思われます。
スマートフォンを認証デバイスとして使用することで、顔認証や指紋認証を用いることが可能になり、誤って他人に利用されるリスクが大幅に低減されます。また、電子証明書を使用することで、インターネット上での安全性も向上するなど、利便性とセキュリティの両立を実現しています。
スマートフォンを活用した公的個人認証サービスでは、スマートフォンに電子証明書機能を搭載することで、マイナンバーカードを持ち歩くことなく、スマートフォンだけで様々なマイナンバーカード関連サービスを利用できるようになります。
スマホ用電子証明書は、スマートフォン内部の「GP-SE(Secure Element)」と呼ばれる安全な場所に格納されています。この「GP-SE」はプライバシー性の高い情報を最小限に格納していますが、マイナポータルアプリからしかアクセスできないため、セキュリティレベルの高い運用が可能になります。
なお、スマホ用電子証明書を登録しているスマートフォンの売却、修理、紛失、盗難などの際には、電子証明書の失効又は一時利用停止できる仕組みを提供することで、セキュリティを勘案しながら利便性の向上を図っています。
マイナンバーカードのスマホ搭載は、行政分野だけではなく民間サービスにおいても大きな可能性を秘めています。例えば、オンラインバンキングや電子契約など、様々な民間サービスでの利用が期待されます。これにより、ユーザーはスマホ一台で多くのサービスを簡単に利用できるようになります。
既にマイナポータルを活用したサービスが提供されていますが、今後は民間サービスとの連携がさらに進む予定です。例えば、コンビニでの証明書交付サービスや健康保険証利用においてもマイナンバーカード機能を搭載したスマホが活用される予定です。
最終的には、マイナンバーを基盤とした統合的なオンラインサービスプラットフォームが形成されることを目指すと思われますが、これによって、ユーザーは安全かつ便利に様々なサービスを利用できるようになり、民間サービスとのさらなる連携が実現すれば、利便性がより一層向上することは間違いありません。
さらに、手数料無料化の取り組みも重要な対応策です。民間事業者がJPKIを利用する際の手数料が無料化されることで、民間サービスでの利用が促進され、より多くのサービスが提供されるのではないでしょうか。
これまでは、銀行の口座開設や住宅の賃貸契約、住宅ローンの契約、携帯電話購入など、来店して対面の手続きが必要でしたが、今後はスマホを使用したオンラインでの申し込みも可能になると思われます。
また、コンサート・イベント会場での個人認証や、学割や各種クーポンとの連携など、身分証明がスムーズになることで、公共交通機関を利用する際にスマホをかざすことで、高齢者割引が適用されるサービス提供が実現するのではないでしょうか。
暫くは、スマホを活用した個人認証サービスの進展から目が離せないと思うのは私だけでしょうか。