瀬戸内海の潮流が渦巻く芸予(げいよ)諸島の中、サイクリングロードとしても人気のしまなみ海道の伯方島と大島との間に能島(のしま)城はありました。村上海賊の活動拠点で、豊臣秀吉が四国を平定したのを機に能島城は廃城となりました。荒くれ者、傍若無人…そんな一般的な海賊のイメージとは違い、村上海賊は掟に従って海上の安全を守り、様々な諸国の大名ともつながりを持って瀬戸内海を支配しました。流通にも関与していたようで、文化的な暮らしをしていたといいます。
発掘調査により建物が存在していたことがわかっているものの、現在は当時の建物は残っておらず、天守閣や高い石垣がある江戸時代の城とは異なるものです。「城」という字が『「土」から「成」る』とあるように、島全体の土や岩盤を平坦に整えた「郭(くるわ)」が段違いで本丸・二之丸・三之丸として連なっており、島全体が一つの城郭として機能するよう造り込まれた戦国時代の城なのです。当時の海賊たちがどのように海城で暮らしていたのか、そんな想像をしながら歩きたい歴史スポットです。
★能島城は、城としての建物は現存しない、城跡です。
※能島城にゆかりのある村上武吉ついてはこちらも併せてご覧ください
元NHKアナウンサー 松平定知氏が語る「歴史を知り経営を知る」
「戦国武将 村上武吉」 ~あの、戦国ビッグ3に、悉く楯突いた瀬戸内の海の男~
今治市の大島から出発し能島城周辺を巡る「能島水軍潮流体験」では、瀬戸内海の潮風を感じながら急流ポイントに接近し、潮流による船の揺れを体感することができます。能島城の周囲は渦が巻いていて、古来より付近は最大の難所だったそうです。“日本最大の海賊”とも呼ばれた村上海賊の操船技術の高さをうかがい知ることができます。
そして週末などには能島城に上陸するツアーもあり、村上海賊の拠点に実際にふれてみることも可能注2。島内を歩くと、郭や船だまり、船を泊めていたであろう柱の穴など、村上海賊の生活の痕跡を見つけることができ、歴史好きなら一度は訪れたい場所として人気を博しています。
島の全体像を俯瞰して見たいという方は、立ち木の葉が落ちている冬が見やすいのでおすすめ。海や空との調和が美しい眺望や爽快なクルージングを楽しみたい!という方はぜひ春か夏に訪れてみてください。
注2:能島城は2018年7月の西日本豪雨により被害を受け現在は復旧作業中にあるため、能島城上陸ツアーは運行を見合わせております。再開は2020年下期の予定です。詳細は瀬戸内しまなみリーディング観光事業部(Tel: 0898-35-4886)までお問い合わせください。
注3:海岸部の見学は非常に危険なため推奨していません。十分ご注意をお願いします。
村上海賊たちは戦の前夜、海の幸をふんだんに使った料理で士気を高めたといいます。村上海賊ゆかりの料理として伝わる「水軍鍋」は、昆布出汁にたっぷり魚介と海藻が盛りつけられた今治の郷土料理で、今治市内でも食べられる店舗がたくさんあります。
「宝楽焼(法楽焼)」は海賊たちが戦勝を祝うときに食べたともいわれ、素焼きのほうろくの上に小石を並べてその上にとれたての新鮮な魚介類を色とりどりに盛って焼いたもの。貝や魚、海老が豪勢で、シンプルながら磯の香が存分に堪能できる名物です。
〒794-2203 愛媛県今治市宮窪町宮窪1285番地
Tel: 0897-74-1065
電車利用の場合:JR今治駅から路線バス大三島線「石文化運動公園」下車、大島島内の路線バスで「村上水軍博物館」下車
車利用の場合:本州方面からは大島北ICから約3㎞、今治方面からは大島南ICから約10㎞
(大島北ICおよび大島南ICはハーフインターのため、今治方面からは最寄りの大島北ICでは降りられません。逆に本州方面からは大島南ICで降りることができませんので、ご注意ください)
今治市大島・宮窪港から出港
お問い合わせ:瀬戸内しまなみリーディング観光事業部
Tel: 0898-35-4886
(潮流の規模は、潮の満ち引きによって左右されます。事前に問い合わせることをおすすめします)