暮れに開催されたアメリカンセンターJapanのオープンハウスで、講習を受けるとアメリカのデータベースが使えると聞き、データベース講習会に参加してきました。
eLibraryUSAとは、米国務省国際情報プログラム局が提供する無料のデジタルライブラリーです。
2011年7月にサービス開始以来、現在世界中で8万人以上の利用登録があるそうですが、日本ではまだまだ知られていません。アメリカだけでなく世界中の情報が、「これがどうして無料なの?!」と思えるほどの情報が、インターネット上で無料で使えるのです。
そのうちの幾つかを紹介します。(アメリカンセンターJapan「eLibraryUSAとは?」より)
データベースにもよりますが、読み上げソフトは速さの調節も可能だし、英語の場合は英国・米国・豪国の訛りの指定もできます。日本語の翻訳機能や、ダウンロード機能もあります。実は私、英語は苦手なんです。だから、皆さんに紹介したら自分が使うことはないと思っていました。ところが、英会話を勉強したい一般の方でも十分楽しむことができます。
eLibraryUSAの利用登録は、東京のアメリカンセンターJapanの場合は基本的に1時間ほどの講習会を受けることになっていますが、遠方の方にはメールのやり取りなどで便宜を図っているそうです。また、アメリカンセンターは東京以外にも地方の主要都市にあります。利用登録の申請については「オンライン質問箱」(注3)から尋ねれば、最寄のアメリカンセンターから返信があるそうです。
IDやパスワードは個人利用になります。グループや機関での使用は禁止です。
アメリカと言えば、スミソニアン博物館所蔵の浮世絵や日本画含む4万点超の作品が無料公開されました。しかも、無料でダウンロードでき、非商用であれば再利用が可能です。
日本の作品を探す方法を簡単に紹介します。
1、スミソニアン博物館のFreer and Sackler Galleries(注4)にアクセスします。
2、左のメニュー「Browse by」から「Place → Japan」を選んでください。
そうすると、日本の作品に絞った浮世絵、日本画、陶器など様々な検索結果が表示されます。メニューの「Object Type」から作品の種別を選択すると、さらに絞り込むこともできます。メニューの「Name」には葛飾北斎や月岡芳年など作者の名前も一覧で表示されているので、名前で絞り込むこともできます。
狭い日本では書誌さえ統一できないというのに、“これだけの情報を無償で提供できるアメリカの国力をまざまざと見せつけられた”というのが本音の感想です。
アメリカ国内は、図書館を経由してやはり無償でサービスを受けられるようです。
私たちが図書館のシステムと関わるようになったのは、幾つかの偶然が重なってのことでした。図書館とは縁もゆかりもなかった私たちの先生は、ユーザーである図書館の方々でした。中でも、私たちが初めて本格的に関わったK図書館には多くの想い出があります。
今でこそ“図書館はサービス業”というのが浸透していますが、20数年前、“利用者”を“お客様”として出迎えた最初の図書館ではないかと思います。
開館前の棚の整理は徹底していました。Web上の書影表示をWeb2.0革命と言われるよりずっと昔、1991年頃に、「絵本は絵が命だから絵を見せたい」と、スチールカメラを使って絵本の表紙を撮影し、OPAC(オンライン蔵書目録)で表示していました。
スチールカメラが1台100万円ほどしていた時代です。回線に至っては専用線の9600bpsの時代。(と書きながら、今の方々に、この速度がわかっていただけるのか甚だ不安ではあります)そんな回線状態で画像を頻繁に流したらどんなことが起きると思いますか?
貸出・返却でさえピタッと止まってしまいます。そこで、一度取り込んだ画像はMO(光磁気ディスク)で持ち込み、一旦パソコン上に取り込んだ画像はサーバへ検索にいかないような仕組みを構築していました。駅前の複合施設に、同じフロアに書店のある図書館を作った先駆者でもありました。こんな斬新な試みができたのも、市長との強いパイプがあったからです。
1995年1月13日の金曜日の朝、テレビから、聞き覚えのある図書館名がいきなり飛び込んできました。「火事!」「えっ!図書館が火事?」とりあえずテレビの話をSEへ連絡し、状況がつかめない中、K市へ向かいました。ハードの保守部隊、営業、SEが、バイクや車で駆けつけたその先には、変わり果てた図書館の姿がありました。1階部分は消防の消火活動で水浸し。カウンターの照明器具は見るも無残に焼け溶けて、カウンターまで届きそうでした。幸いだったのは、マシンルームは2階だったため火災からも消火用の水攻めからも逃れられたことでした。
家を出る時に雑巾とエプロンは咄嗟に思いついたのですが、一番必要だったのはマスクでした。鼻の孔は煤で真っ黒になるし、喉はガサガサ。マシンも命拾いはしたものの煤払いに苦戦しました。放火だったので、現場検証も入り後始末も大変だったと聞いています。それでも、保険をかけていたので、新しい本を購入する事が出来ました。
図書館の方が日時を明確に覚えていたのは、その4日後に阪神淡路大震災があったからです。火事のため、直後に予定されていた関西の図書館の方の来訪は延期になり、そして阪神淡路大震災。見学に来られるはずだった図書館は急きょ避難所となり、結局見学は立ち消えとなりました。この年は、地下鉄サリン事件もあった年です。世の中は大きな出来事の渦に巻き込まれていた中、「周囲を見るゆとりもなく、どうやって図書館の棚を取り戻そうかと必死になっていた」と、館長が当時の想い出を語ってくれました。
余談ですが、水害で寄託本が水浸しになった図書館もありました。そんな時は無理して乾かすのではなく急速冷凍して水分を除去する技術があるのだそうです。素人判断は禁物、まずは専門家へ相談ください。
K図書館からのシステム不具合の電話はいつも、「こんな使い方してすみません」から始まります。叱られるよりSEは恐縮します。だから、「困っている」と言われると、普段も手を抜いているわけではありませんが、本当に困っているのが伝わってSEも必死でした。多くの想い出に感謝です。