第27回図書館総合展の案内センターとU30企画
図書館つれづれ [第141回]
2026年2月

執筆者:ライブラリーコーディネーター
    高野 一枝(たかの かずえ)氏

はじめに

第1回図書館総合展は、館種を越えて図書館界全体が交流し、情報を共有する場として、また周辺分野の最新トピックや技術、製品・サービスを紹介することを目的に、1999年に東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されました。事務局やスポンサーの尽力により参加費無料で運営されており、その後2004年には会場がパシフィコ横浜(神奈川県)へと移りました。

第27回図書館総合展は2025年10月22日から24日まで開催されました。2階には9つのフォーラム会場があり、1階の展示会場にはブースや発表の場も設けられました。会期中、14,023名が来場。会場ブース77件、会場アカデミックブース19件、会場ポスターセッション58件、1day出展9件、会場フォーラム開催67件、おすすめ本1,456冊(参加出版社178社)と盛況でした。

コロナ禍による2年間の会場開催中止を経て、2023年の総合展では、それまでの「招待券との引き換えによる入場方式」が廃止され、来場者が入口で所属カードと首から下げるフォルダーを自由に選んで取る入場システムへと変更されました。あわせて2024年からは、会場入口に案内センターが設置され、ボランティアによって運営されています。今年は私も、その活動を少しだけ体験しました。

もう一つ、今回の総合展で目立ったのは新旧交代です。日本図書館協会主催の第96回図書館大会(2009年)は、明治大学で1日だけ開催されました。前日の夜、「若い司書はいません」の言葉に、有志が40歳以下と銘打って「U40による懇親会」を開きました。その時の参加者が今では大学で教える側となり、多くの学生を会場に導いてくれました。第12回(2010年)、第13回(2011年)に開催された若手ライブラリアンのための企画「L-1グランプリ」も復活して賑わいました。

今回は、案内センターでのボランティア活動の舞台裏と、「L-1グランプリ」とは別に30歳以下を対象にしたU30企画を紹介します。

図書館総合展:https://www.libraryfair.jp/

案内センター2025

2024年より会場入口に設けられた案内センターは、友人の公共図書館司書の今井つかささんの一言がきっかけでした。今井さんから「図書館総合展に参加しはじめて間もない頃は、知り合いもほとんどおらず、どのブースに行けばよいのかわからずに戸惑いました。気軽に相談できる“コンシェルジュ”のような人がいれば、もっと楽しめる方が増えるのでは」というお話がありました。この提案を受け、かつてお世話になった司書で、今は、「リーディング・リエゾン・パートナー」の肩書を持つ萬谷ひとみさんと今井さんの二人で総合展の運営委員長に相談したことが、案内センター設置の始まりです。なお、2024年のボランティア募集はFacebookで呼びかけを行いました。

それまで事務局が外部委託していた受付では、主にトイレや喫煙所、エレベーターといった基本的な案内のみを行っていましたが、2024年に立ち上げられた案内センターでは、来場者のニーズに応じて近隣のランチやディナー、横浜観光、土産情報などをGoogle Mapとともにまとめたマニュアルを作成し、案内していたそうです。基本的な案内に加えて、フォーラムの案内と誘導も行っていたといいます。

その反省を踏まえ、2025年はフォーラムの登壇者名からも検索できる50ページに及ぶリストを新たに作成し、よりスムーズな案内ができるよう工夫しました。このリストは3日がかりで作った力作です。それでも会場情報は前日まで修正が入り、準備はぎりぎりまで続きました。

また、昨年の運営のなかで、既存の案内看板ではわかりにくい箇所があることにも気づき、その改善を事務局に提案したと聞いています。

1. 案内センターの運営

案内センターの担当は、1日を4コマに分けて各コマ4名で対応するシフト制です。メンバーが都合のよい時間に入ります。フォーラム開始前後20分は2階の案内板に2名配置し案内します。青いベストを着用し、総勢27名が参加しました。案内と一言でいっても、2階のフォーラムの案内のほかに、1階の展示場ではブース案内はもちろんのこと、スタンプラリーやポスター案内など盛りだくさん。基本は会場マップを見ながら案内します。

(大宅壮一文庫の鴨志田浩さんと)

2. 事件は現場で起きている

とはいうものの、エレベーターの場所、防災センター(忘れ物の相談窓口)、タクシー乗り場の場所、高速バスの発着所、展示ツアーの所要時間、応急手当(絆創膏などの提供)、『車椅子を借りたいのですが…』といった施設利用に関する質問や、近隣のロボット展についての問い合わせなど、実にさまざまな質問が舞い込んできました。

案内に立っていた時、「小さなブースだけど、XXXXはどこですか?」とある女性に質問されました。みんなでブースを調べますが見つかりません。彼女は友だちからの誘いで来場したものの、詳しい情報は持っていませんでした。そのうちその女性は「手間を取らせるのは申し訳ない」と自分で会場に入っていきました。その時、「小さな」にピンときた司書がいました。もしかしたらポスターかもしれない! ポスターは学生や友人同士などで比較的安価で発表できるツールなのです。調べたら、ありました! 友人は会場内で彼女を探し、無事場所を伝えることができました。司書の皆さんの日頃のレファレンス対応を目の当たりにした瞬間でした。「空調関係を取り扱う出展のブースは?」の質問には、自分たちでは対応できなかったので事務局に繋ぎました。コロナ禍以降オンライン開催も活発で、オンラインと会場の違いに戸惑う人もいました。

会場での発表はフォーラムだけではありません。トークイベントは、スピーカーズコーナーA/B、トリプル合同庁舎、arg×odp×SCIVONE、opSoL、図書館とゲーム部など、数え上げたらきりがありません。その上、出展者のブースでもイベントがあるのです。おまけに、スピーカーズコーナーBは2カ所あり、出展社の案内には「スピーカーズコーナー1/2」など文字の揺らぎもあって、全てを把握するのは不可能に近いのです。それでも、聞かれたことはノートで共有しながらの3日間でした。

3. 今年の反省とまとめの情報共有

準備期間から期間中も終わった後も、グループで常に情報は共有されています。今年の反省を含めた報告は、まとめて事務局に提出されます。幾つか紹介すると、

3-1良かった点

  • 運営・連携:ボランティア間の連携が良好で柔軟に対応できた。フォーラム一覧裏面の会場図・登壇者リストが有効。
  • 環境・備品:カウンターの高さが改良され、立ち仕事が楽になった。控室や小部屋の活用が好評。
  • 雰囲気:来場者との交流が活発で、全体的に「楽しかった」との声が多かった。

3-2問題・改善点

  • 情報のわかりにくさ:フォーラムとブースイベント、オンラインと実会場の区別が不明瞭。一部ポスターが欠落し混乱を招いた。
  • 現場対応の限界:技術展示など即答が難しい質問もあり。案内センターと事務局業務の線引きが不明確な場面があった。
  • 備品不足:メモ・ペン・救急用品の不足。

問題や改善点には事務局への要望も含まれ、来年に向けより快適に参加いただけるよう工夫されていました。ボランティアで参加してみて感じたのは、「案内センターは総合展のレファレンスサービス」でした。何よりボランティアの皆さんが楽しそうに案内しているのが印象的でした。

U30交流企画

若手ライブラリアンのための登竜門「L-1グランプリ」とは別に、初の試みとして、30歳以下の若手を応援する企画が「U30交流会」です。図書館総合展を最大限に活用し、業界内のネットワークを広げるための情報や機会を提供するため、図書館に関わる様々な活動を紹介してきたJcrossと、「港区図書館ネットワーク」などの活動を展開してきた三康図書館とBICライブラリのスタッフが企画しました。

「図書館業界で社会人の一歩を踏み出した人、未来の図書館界を背負って立ちたい人、そんな人たちと知り合いになってみたい人、みんなスピーカーズコーナーに集合!」と呼びかけ、10月23日17:00から45分間、スピーカーズコーナーで繰り広げられました。対象は30歳以下にこだわりました。当初は人が集まるのかと心配したそうですが、50名ほどの若者が集まりました。話題提供で発表したのは以下の3組。

  • 山城詩帆(恩納村文化情報センター):図書館司書
  • 田嶋尚晴(株式会社内田洋行 ユビキタスライブラリー部):図書館系企業
  • ハナザワ&サドウ(大学生):

それぞれの立場から図書館に関心を持ったきっかけ、関心分野、現在の業務や研究、図書館の未来についての意見などについて話題を提供した後、参加者全員で簡単な自己紹介をし、スタッフを含めた全員での交流を楽しみました。運営に関わった友人に感想を聞いてみました。

  • 冒頭、主催者のあいさつで「96年生まれです!」と話したら、「私もです!」の声が!
    その一瞬で距離が縮まって、連絡先の交換までしました。
  • 参加者は沖縄から東北まで、全国津々浦々から集結。大学生や図書館企業、図書館司書、図書館ラジオの方まで、本当に多種多様な方が集まりました。図書館の未来が少し見えた気がします。
  • 「有名司書」だけじゃなく、そのそばで日々現場を支える“スーパー司書”たちとも話せたことが嬉しかったです。

会場はほぼ満席で立ち見席まであったとのこと。後ろで見守る先輩方が、まるで授業参観の保護者のようだったそうです。目に浮かびます。

イベント後の懇親会は、over30のベテラン達がスポンサーとなり、多大な支援があったそうです。Z世代は個の能力が高い一方で、つながりを築きづらいと感じることがあるとのこと。小・中学生の頃に東日本大震災を経験している世代で、社会人になってからすぐにコロナ禍に入り、リモートが多かったことも要因の一つかもしれません。懇親会の後にLINEグループが生まれたのが、何よりの収穫だったと話してくれました。

余談ですが

今回、私はフォーラムには顔を出していません。知人から拾い上げた感想ですが、気になった点だけ紹介します。

  • 「政令市図書館政策サミット」では、大阪大学の北村亘先生の講演が非常に興味深く、データを統計分析することで多面的な解析ができることがわかった。情報を扱う図書館司書としては、こういうこともできると予算査定の時にも財政課とやり合う時の武器にできるかと思うので、来年度の総合展で、統計データの分析について実学講座をやってほしい。
  • キハラ株式会社主催『修理製本:糸が切れた絵本の綴じ直し』を体験。今後も継続して、このような修理講座を開催していただけると嬉しい。
  • 経験ベースの知識は気づくと古びてしまう。自分で意識してアンテナを立てないと、あっという間に置いていかれちゃうということ。今回あらためて、「学び続ける力」が必要だなと感じました。

出店ブースが減っているのは、システム会社の淘汰、外資系論文企業の再編統合、洋書店の凋落など。何より、図書館政策そのものが縮小傾向の現実があります。

いろいろ問題や意見はあるでしょうが、システムベンダーが小さいながらもブースを出してくれていたのには、皆さん安堵していました。

図書館つれづれ

執筆者:ライブラリーコーディネーター
高野 一枝(たかの かずえ)氏

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